管理人の献上箱

□(旧)日誌B:剣士と不死鳥
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XX年XX月XX日
雲一つない晴天、物思う空。



息絶えて、思考がかき消えるその瞬間・・・感じるのは、達成感なのか、虚無感なのか・・・
人に幸せを与えるものは、富、名声、力、そんなものなのか・・・




人の命は70年か80年と言われているが、気付けば人生の折り返し地点も軽く過ぎ、今までの人生大半を海賊として生きてきたエドワード・ニューゲートは先の自問自答を繰り返し、遂に1つの答えにたどり着いた。
人に幸せを与えるものは、人との絆、そして誰かのために生きる事。
それはまた、生きる力と生きた証を与えてくれるものである、と。
それはまだ手に出来ていない。今いる仲間達はその宝を与えてはくれない。エドワードは独立を決意し、船を去った。



エドワードは「白ひげ」と名を名乗り、共に船に乗る者を探した。「白ひげ」の誘い文句は独特で、裏の世界ではすぐに有名になった。

「俺の息子にならないか?」

家族がいなかったり、いても見捨てられたりした者達は多く、この言葉は心に響くものだっただろう。
すぐに船を動かせるだけの人数は集まった。しかし白ひげことニューゲートはそれでは満足しなかった。
もっと「息子」が欲しい。
自分が幸せになりたいというのもあるが、できるだけ多くのはみ出し者達にも幸せを感じて欲しいと思ったからだ。
但し、人数が増えればさすがに目が行き届かなくなる上に、不満の声も聞こえなくなる。内乱なんて悲しい出来事は絶対避けたい事柄だった。
エドワードはいわば「長男」の器を持った人間を探していた。

今のところ素質のある子供は2人だ。

1人目はマルコという若者で、悪魔の実により不死鳥の能力を有している。見た目にはただの血気盛んな不良少年、いや青年だが、長年色々な人間を見てきたエドワードにはそうは映らなかった。
勝てやしないと分かっているのに無謀に挑んで来るのは、若さの盛りとかそんな可愛らしい理由ではない。
まだ若いのに、まるでこの世の全てを見てきたような悟りきった顔と、悲しみの色に染まった青い眼が逝き急いでいる事を物語っていた。
ケンカのセンスはいいし、能力者であるというだけで並の船員は素直に従うだろうが、それだけではない。
痛みを知る人間には気が利く奴が多い。
それこそ、人の上に立つのに必要不可欠な素質だとエドワードは考えていた。

2人目はジョズという大柄の青年で、彼もまた悪魔の実の能力者だ。非常に戦闘能力が高く、仁義にあつい。
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