管理人の献上箱

□(旧)日誌D:夢叶えるは青い鳥
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XX年XX月XX日〜
世界よ、白ひげの名を知れ。今日からお前達は白鯨の男に恐怖する・・・



新世界には“海賊と密売人の楽園”と謳われる島がある。
無法者で成り立つそこの島には海軍の手も届かず、港近くでは海賊を目指す若者や乗る船を探す熟練水夫が溢れ、町に入れば荒くれ者相手に商売する強者達が物売りに精を出し、夜になれば呑んだくれと遊女達で朝方まで活気づく、そんな自由な風が吹く島である。
しかも腕利きの大工が揃う(客を客と思っていないような輩ばかりだが)造船所が入江にどんと店を構えており、船の調達にも困らない、まさに夢の島だ。(余談だが、稀に入ってくる中古船は資金の少ない駆け出しの若者達に大人気で、売り出される時は死人がでるほど派手な競り合いが起こる)


今、この夢の島ではある噂で持ちきりだった。
“悪魔の実を食べて不死になった子供がいるらしい”とか“悪魔の実で青い鳥になった子供がいて、手に入れたら幸運が舞い込んでくるらしい”等々憶測は様々だが、成功を願う海賊達は縁担ぎに、商売人達は売れば大金になると踏んで、まさに血眼で不死鳥を探し回っている。

その噂の中心にいる少年はというと、追っ手の男達を必死に振り切り、大人が通るには狭い建物の裏口に逃げ込んで、一息ついているところだった。

彼の名はマルコという。今年で15になるが、発育不良をのためか実年齢より少し幼く見える。
母親は町に住む遊女で父親が誰かは未だに分からない。母親はマルコが産まれてすぐは面倒を見ていたものの、手がかからなくなった途端、今までの自由奔放な生活に戻りほとんど家に帰って来なくなってしまい、食べるものに困ったマルコは家を離れ、町に多く生活しているストリートチルドレン達と行動を共にするようになった。

路上生活は危険がつきまとい、けして楽ではなかったが、それでも同じ境遇にある仲間達と肩を寄せ合って生きるのは悪いものではなかった。
しかし・・・ある日を境に生活は一転する。盗んだ食糧の中に紛れていた悪魔の実が、呪いと共に不幸をマルコにもたらしたのだ。
能力がまわりの貪欲な大人達の目に触れたその瞬間、捕獲者達に追われる身となり、共にいた仲間達は次々殺されていった。ただ独りで逃げまどうマルコが感じているのは、恐怖と悲しみ、悔しさと怒り、そして絶望・・・それだけだった。

彼はまだ知らない。世界最強の男が救いの手を差しのべてくれる事を。
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