管理人の献上箱

□(旧)日誌H:隊長達の晩餐
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「〜隊長達の晩餐〜」

XX年XX月XX日
緩やかなリズムで鳴り渡る波の音。優しく冷たい月明かり。
楽しもう、静かな時間を・・・


暗く静かな海とは対照的に、島の海岸は火が焚かれ、昼間のようとまではいかないが傍の森の奥まで見えるくらい明るい光が広がり、たくさんの人間が騒ぎ合う音で満たされていた。
ここは白ひげ海賊団が好んで利用する補給地の小島。
夜になると同時に恒例の宴会が開かれ、各々が飲んだり歌ったりばか騒ぎをしたりしてこの一時を楽しんでいる。

陽気に賑わうなか、人気のない森へと向かう1つの人影があった。片手に酒瓶を持ち、しっかりした足取りで奥へ向かうさまからして、酔っぱらっている訳でも用を足しに向かっているのでもないことは明らかだ。


森を抜け対岸に出た人影は月明かりで照らされ、姿があらわになる。
その人影は海賊達だけならず海軍にも名を轟かせている、強面に屈強な身体の持ち主、白ひげ海賊団3番隊隊長ジョズであった。
宴会は嫌いではないし、気の知れた仲間達とたわいもない話をしながら盛り上がるのは至福の一時と言っても過言ではない。ただ、今日はなんとなく静かに飲みたい気分だったのだ。
船の上では1人になるということがほとんどない。陸にあがった時が唯一1人の時間を過ごす機会なのである。宴会の席では皆必要以上に干渉しないため、場を離れる事はたやすい。ジョズも軽くちょっと行ってくるとまわりに言い残しここに来た。大木を背にどかっと腰をおろし、一口酒を飲む。静かな空間を楽しみながら、船の事、仕事の事、過去や未来について思い巡らせ・・・


瓶の中身が消えた頃、人の気配がして振り返った。大きな人影が姿を現し、聞き慣れた声が上から降って来た。
「なんだ、先客か」
声の主は、親友と呼べる存在であるブレンハイムだった。
「おう。邪魔なら退散するぜ。瓶も空になっちまった事だしな」
ジョズは少し笑顔を浮かべてそう答え、立上がろうとしたがブレンハイムは手でそれを制した。
「いや、いいぞ、そのままで。酒も沢山あるしつまみもあるぜ」
そう言ったブレンハイムの大きな手には、酒瓶10本程とご丁寧に皿に載せられた肉料理があり、ジョズは感心の声をあげた。
「用意いいな〜お前」
「俺は抜け目の無い男だからな」
ブレンハイムは静かに笑い、ジョズの横に腰をおろした。
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