♪いろいろ企画箱♪
□ハグ3:風船ハグハグ大会♪(じょず師匠)
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「なあ、ジンベエ。風船ハグハグ大会に出てくれないか?」
「風船…ハグハグ…?」
息を切らせて走ってきたエースに手を引かれて甲板に来てみれば、椅子の上に置かれた風船が二つ遠くに見える。
「あのさ、あそこまで走って、風船をお互い抱き合って腹で割るんだ。で、先にスタートに戻ったチームが勝ちなんだよ」
「はあ…」
「で、相手はマルコでさ。ジョズを連れてきたんだよね。だから、ジンベエ頼むよ!」
潤んだ瞳で見つめられれば断る事など出来ない。ジンベエは渋い表情のままスタートに立つ。
(まさか、四十四にもなって…こんな大会に出るとはのう…)
「ヨーイ!」
スタートの合図はクリエルのバズーカである。凄まじい爆音が響いたと同時に全員が走り出す。
スピードでは分が悪いと思われたエースのチームだったが、ほぼ同時に風船へとたどり着く。
「ジンベエ!」
「う、うむ…」
二人は向かい合い風船を身体に挟もうとするが身長差があり上手く挟めない。
「しゃ、しゃがんでくれ!」
「う、うむ」
どうにか風船を挟み込み、エースがジンベエの腰に手を回して力を入れるが風船は割れない。
次の瞬間、風船の割れる音が甲板に響き渡る。
「ジンベエの脂肪で割れないんだい。ミスったなエース!」
「…残念だったな」
マルコとジョズはニヤリと微笑みエースを見る。
「し、しまった…!」
栄光の座はマルコのものとなり、そこへ白ひげが近づいてくる。
「グララ…よく頑張ったな。ご褒美だ。ジョズもな」
白ひげはマルコとジョズをその巨体で優しく包み込む。二人は満足そうな表情を浮かべている。
「くそう…」
「エースさん…すまんのう…」
「ジンベエ…」
エースは、ジンベエの腹に顔を埋め、裾を強く握る。ジンベエは優しくエースの頭を撫でる。
爽やかな風が吹き、二人を包み込む。
穏やかな秋の空。
<END>