♪いろいろ企画箱♪

□(旧)マルコ祭2:未知との遭遇
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XX年XX月XX日
知らない世界を見に行こう・・・

隊長室にとめどなく音が響く。紙をめくる音と書き連ねるペンの走る音。
出費がかさんだため多額の金が必要になり、手に入れた財宝などを換金した兼ね合いで今月の帳簿は恐ろしい事になっていた。普段は適度に休憩を入れるビスタも今回は時を忘れて仕事に没頭している。


時計の針が午前2時を指す頃、ずっと黙って書類に目を落としていたビスタがようやく顔をあげ、口を開いた。
「よし!出費リスト、まとめ終わったぞ。そっちはどうだ?」
「9番隊の分までまとめ終わったよい。みんなお金使い過ぎだい、全く!」
マルコも手を止めて現状報告し、大きくノビをした。ビスタもつられるようにため息をつき肩に手をやった。そして時計に目をやり、おお!と驚きの声をあげた。
「なんと!もうこんな時間じゃあないか!続きは明日に回そうか。このまま続けても効率はあがらんだろう?」
「そうだねい・・・どう見てもすぐ終わらせられない量だし・・・」
マルコは疲れた目を紙の塔にやりながら呟いた。じゃあ今日はこの辺で、と二人は立ち上がり隊長室を後にしたのだった。


マルコは甲板に出て、凝り固まった身体を思いきり伸ばした。緊張の糸が切れた瞬間、疲れがどっと押し寄せ深く息を吐く。
「あちこちギシギシいってんなぁ・・・ひとっ飛びしてから寝るとするかい」
そう呟いて、軽く身体を動かすと素早く不死鳥へと姿を変え、雲が広がり薄暗くなっている夜空へと舞い上がった。


雲を抜ければ、満天の星空と大きな三日月が眼に飛び込んで来て無意識に溜め息が出た。眼の奥でちらついていた数字の羅列が星々の優しい光にかき消され、翼を羽ばたかせれば滞っていた血が通う感覚が全身に広がっていく。夜空の散歩はリフレッシュには持ってこいで、マルコは疲れも忘れ空を飛び回った。


すっかり夢中になり、気付けば小一時間程上空にいて、自身の身震いで現実に引き戻された。上空の温度は思いのほか低くて身体中冷えきっている事に気付く。皮膚の表面は冷たいのに内側は焼けるように熱い。エースの能力とは違いマルコの持つ炎に熱は無く、温度を持たないものだ。熱を感じるということはつまり、まずったという事で、マルコは頭の中で反省の言葉を並べ立てながら遠くで光を放つ船へと向かっていった。
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