管理人の宝箱

□財宝3:流した涙はサナトリウムへ(ハート)
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ローは遺体を布で覆い、顔の部分を残して縫い上げた。しばらく青白い顔をみんなで眺める。もう二度と会えない。所々ですすり泣く声が聞こえる。
そう、ハートの海賊団はついに仲間を一人失ってしまったのだ。



昨日、航海中に偶然別の海賊団に遭遇し戦闘になった。魚雷を使って一発で沈めてやってもよかったが、財宝を奪いたかったので海上での戦闘に持ち込んだのだ。潜水艦に穴を開けられては航行に支障が出るので、ローは巧みに船を操り砲弾を避け、敵船の横に船を着けた。次々と仲間達が敵船に乗り移り、瞬く間に大乱闘になった。ローも参戦すべく、敵船に乗り込み、能力を発動させた。思ったより敵の数は多く、賞金首ではないが中々の手ダレが混じっており、一人で全員片付けるくらいのつもりで乗り込んだがそうもいかなかった。あちらこちらで剣の交わる音や銃声が聞こえる。遠くでベポの声もした。相変わらず拳のみで頑張っているらしい。
雑魚たちを仲間達に任せて、ローは手ダレの剣士達と船長を相手にした。一度にそこそこの奴等を大勢倒すのは少し骨が折れた。中々“ROOM”の中に入ってくれない。浅いとはいえ、あちこち切られて折角のおろしたての服が台無しだ。ともあれ自分達の勝利、ふぅっと溜め息をついてからローは現状把握に入った。みんな無傷というわけではないが命に別条はないようだ。ホッとしたのも束の間、悲痛な叫び声が上がった。

「ウワァァ!!そんな!嘘だろ〜」

「どうした!?」

嫌な予感がして、叫んだ仲間の方へ走った。

「あぁ、船長・・・アンカーの野郎がぁぁ」

見ると仲間が一人血まみれで倒れている。全員がその場に走って来て輪になってアンカーを眺める。みんなで口々に、「大丈夫か!?シッカリしろ!」と叫ぶ。

ローはアンカーを抱き起こす。心臓近くを撃たれていて状況はかなり深刻だった。

「シッカリしろ!絶対助けてやる!心配するな」
そう声を掛けると力なく言葉が帰って来た。

「すまねぇ・・・船長。俺ここまでみたいだ・・・自分の死期は自分がよく分かる。俺・・・船長の部下で良か・・・った。」

「もう喋るな!!絶対死なせねぇ!」

「俺の体は海に埋葬して下さい・・・俺海が大好き・・だから・・・最後の頼みっす」
そう言い残すと、静かに目を閉じ、アンカーは20年という短い命を閉じた。その名のとおり、本当に海が大好きなやつだった。
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