白ひげ一家航海日誌(めいん)

□(旧)日誌2:エース就任(夜)
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「錨を下ろせぇ〜!!」
威勢のよいかけ声と共に、鎖が擦れる金属音が辺りに響き渡る。宴会のため船がモビーディック号の横につけられ次々錨が下ろされ、楽に往き来できるよう木の板で簡易の橋が立て掛けられた。
甲板にはいつも以上に灯りがともされ、見た目はさながら豪華客船のようだった。主役は座って待ってろと手伝いを拒否された俺は、オヤジの横の席でぼんやり甲板を眺めていた。オヤジは、バタバタと息子達が準備に駆け回る様子を楽しそうに眺めている。
綺麗に磨かれた床に、次々と普段より工夫が凝らされている事が見て取れる料理が並べられ、多量の酒樽が山のように積まれていく。

置き場がもう無い位食糧が並べられると、マルコが軽い足取りでオヤジの側にやってきた。
「オヤジ、準備OKだ。いつでも始められるよい」
「よし、じゃあ始めるか!」
マルコは待ってましたとばかりにでんでん虫を取り出した。オヤジの声が全ての船にスピーカーを通して響き渡った。
「ご苦労だったな息子達!今日はめでたい日だ!好きなだけ飲んで楽しめぃ!」
あちこちで大きな歓声が上がった。
「始める前に新隊長から一言貰おうじゃねえか!」
そう言ってオヤジは手にしていたでんでん虫を俺の前に差し出した。大きな手からキョトンとした目でこちらを見ているでんでん虫を受け取り、一度だけ大きく深呼吸した。
「皆、今日は俺なんかのために動いてくれてありがとう。オヤジの言うとおり、俺はまだまだハナッタレだし、沢山迷惑もかけると思うけど・・・オヤジのため、皆のために全力で暴れ回ってやるから!これからもよろしく頼む!!」
言い終わるや否や先程より大きな歓声が上がり、皆が受け入れてくれている事が肌身で感じられて安堵した。マルコがポンポン肩を叩いて笑った。
「いい挨拶だったよい、エース。全員に挨拶回りすんのは無理だからよい、せめて船回りしてきなよ」
「分かった!」
俺は満面の笑みで返した。
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