白ひげ一家航海日誌(めいん)

□日誌6:そして航海は続く
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XX年XX月XX日
爽快な力強い風、晴れ渡る空。
嵐はどこへ?


嵐が過ぎ去り、騒々しかった船は落ち着きを取り戻しつつあった。それに、大嵐だったにもかかわらず、死人がでなかったのは喜ばしい事だ。


だが、各船共に被害は深刻だ。
モビーは船長室が半壊、怪我人多数。
2号船はナミュールが乗っていたおかげで、大きな損傷は無かったものの、重症を負った船員は五十人を超えている。
3号船は、帆が四枚破れているし、クリエルの判断で砲弾等を捨てていて(嵐に遭った時は、船を軽くし、浮力をあげるため、積み荷を捨てるのが一般的だ)武器庫は空っぽ状態だった。当然ながら、怪我人も多く出ている。
4号船は怪我人は一番少なかったものの、船の被害が深刻だった。最後方につけていたからだろうか、メインマストの帆は、何か飛んできたらしく、ズタズタに避けているし、ミズンマストも真ん中辺りでばっきり折れていた。この状態で怪我人が少ないのは奇跡に近い。
アトモスは一体どんなマジックを使ったんだろう?

4号船は帆走出来ない状態で、船は捨てていくのかと思ったのだが、オヤジにはその気は無いようだ。モビーディック号が親なら他の船は子供みたいなものだから、当然といえば当然だが。
とりあえず、三隻総出で牽引し、オヤジの指示で今は北にある補給地(そこは無人島らしい)へと進んでいる。


更に一夜が明け、太陽が真上に差し掛かる頃、遂に島の影が見えてきた。そして大きな船影も・・・
「オヤジ!船が見えるぜ!大丈夫なのか?敵じゃあねえのか?!」
姿を視認した瞬間、俺は一目散にオヤジの元へ走った。焦る俺とは裏腹に、オヤジは余裕の笑みを浮かべた。
「グララララ。大丈夫だ、エース。あれは俺が呼んだ船だ。言ったろう?対策は打ってあるってなあ。丁度いい。オーズにお前を紹介しねえとな」
オーズ?聞いたことのある名だ。
“国引きオーズ”の話は絵本になっているくらい有名な話だが、そのオーズと何か関係あるのだろうか?好奇心が押さえられず、オヤジに確認する。
「オヤジ、オーズって誰だよ?あの伝説のオーズと何か関係あるのか?」
オヤジは楽しそうに笑った。
「ああ、そうだ。伝説のオーズの子孫でな、俺の息子になってくれたんだ。でけぇぞ!船の修理を手伝って貰おうと思ってなあ。百人力だぜ、アイツは!グラララ!」
一体どんな奴が現れるんだ?
俺は期待に胸を踊らせながら、船影を眺めた。
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