ぽちっと小箱

□マルコにイタズラしかけましょ♪
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☆第一話「スピード・ジル編」☆



南の島、と言えばバカンスが真っ先に思い浮かぶだろう。

白ひげのご一行は夏島に停泊中で、当然ながら各々がバカンスを楽しんでいた。しかし、マルコはと言うと、1人せっせと仕事にいそしんでいる。
それを遠目に眺めていたイゾウは、しばらく黙って見ていたが、ふと思い付いたように通りすがりのキングデューとジルに何事かを囁いた。


数十分後。


イゾウがフラリとマルコの前に現れた。
「こんな時まで仕事かよ。もっと楽しい事しようぜ」
「ん〜?ああ、これが片付いたらねい」
マルコはチラリとイゾウに眼を向けたが、すぐに紙切れに眼を戻した。
イゾウは小さく溜め息をつくと意味ありげな笑みを浮かべ、サッと紙切れを取り上げた。「何だ、物品リストか?こんなもん出航前にやればいいじゃねえか」
「前もって作っておけば後で慌てずに済むだろい」
ムスッとした顔で紙を取り返そうと手を伸ばしたがイゾウはひらりとそれをかわし、
「気分転換は必要だぜ。ほらほら、取り返してみな!」
とクスクス笑いながら書類を手に走り出した。

「おい、待てイゾウ!遊んでる場合じゃねえよい!」
小さく舌打ちし、マルコは後を追いかける。

船を降り、隊員達の間をぬってイゾウの背中を追っていたが、不意に腕を捕まれ、マルコは何事かと振り向いた。
そこにはボトルを手に満面の笑みを浮かべるジルがいた。
「なんだよい!今ちょっと取り込み中だい!後にしてくれよい!」
こうしてる間にもどんどんイゾウの背中は遠くなっていく。だが、ジルは全く気にしていない様子でヘラリと笑い、
「マルコ〜!丁度良いところに来たじゃないか!すぐ終わるから聞いてくれよ!」
とのたまった。
足掻いた所で掴んだ腕を離してくれそうにないな、とマルコは素直に諦め、
「手短に言えよい」
と先を促した。
その言葉にジルの眼がキラリと光り、マルコの眼の前に手にしていたボトルをずいと突き付けた。
「見てくれよ、これ!塗るだけで筋肉疲労が吹っ飛ぶオイルなんだぜ!この島の特産品なんだけど、船の備品に買わないか?戦闘の後とかに超役立ちそうじゃない?ね!」
「ああ〜そうだねい。でも本当に効くのかよい?」
怪訝な顔を向けるマルコに、ジルはもう一押しした。
まるで街頭販売である。
「なんなら試しに使ってみてよ!急いでるんだよね?脚に塗って自分で効力を確めて見て♪」
全く持って拒否権などない雰囲気にマルコは押し負け、おずおずとボトルを受け取った。
蓋をあければ、いかにも効きますよ的なミントの香りが漂う。
マルコは小さく“なるほどねい”などと呟きながら手早くオイルを脚に塗布し、また後でと小さく手を振って追走劇を再開したのだった。
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