紳士達の暴走部屋

□禁じられた遊び〜序章〜
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白ひげ海賊団の一行は、ホワイティベイからの招きで根城となっている島に上陸していた。
周りの海さえ凍らせるほど寒く氷雪に覆われているこの島は、どうみても人が住める環境には見えないのだが、海岸一帯にそびえ立っている要塞のような造船所が人の存在を示している。
ただし、国の存在は容易に確認する事はできない。唯一存在している小国は四方を氷山で囲まれた島の中心部にあり、到達するには険しい山を越えるか、造船所と国を繋ぐ“地下道”を通るしか道がないからだ。
勿論エドワード達は、この島を治めている“氷の魔女”の大事な客なので、地下道を通って国に入ったが、外部の人間が魔女の許可無しに通る事は許されていない。
そして、外部との接触は港を兼ねている造船所に限られるため、ここの国は昔から変わらない生活が息づいていて、情緒溢れる雰囲気を味わう事ができる美しい場所であった。
船員達の中には、物珍しい灯りや美しい街並みに感嘆の声をあげる者もいたが、大半は道行く乙女達が色白美人である事に歓声の声をあげ、気分よく街の中へ散って行った。
船長であるエドワードは仕事優先で、隊長数名を伴い、ホワイティベイの根城である“黒岩の塔”(国の真ん中にそびえ立つ巨塔で、国一帯を一望できる素晴らしい所だ)で会議を兼ねた晩餐に出席していた。


普段、息子達は皆オヤジと呑みたがるのだが、今回みたいな形式ばった場となると、名乗り出る者は皆無に等しい。故に、同行するのは自然と側近を務める隊長達になる。
サポートを務めるのはエドワードの右腕的役割を果たしている“艇長”マルコだ。振る舞われた料理に賛辞を贈るのは“料理長”サッチの役目で、金の絡む話になると“主計長”ビスタが雄弁に語り出す。勿論「白ひげ海賊団」最強の戦士、“用心棒”ジョズの存在も力を誇示するために欠かすことはできない。

難しい議題が幾つかあったものの、互いに譲歩しあい、円満な雰囲気で晩餐は終わりを迎えた。ホワイティベイは、端整な笑顔をエドワード達に向け、
「塔の上階に部屋を用意してあるよ。眺めを是非楽しんでいっておくれ。何か要望があれば電電虫で召し使いに伝えるといい。大抵の事はやってくれるからね。それと」
と、述べて悪戯っぽく笑い、囁いた。
「合意の上なら部屋に連れ込んでもいいよ」
サッチは思わぬ言葉に喜びを抑えきれず口笛を吹いてしまい、隣に座っていたマルコが慌ててたしなめるように肘でこづいた。ホワイティベイはその様子に、兄弟の仲だ、気にするなと豪快に笑ったのだった。
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