管理人の献上箱

□(旧)日誌A:ジョズの一日
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周りの船員から期待の眼差しが一斉に注がれているのが全身に伝わってくる。勿論俺の馬鹿力を頼っての事だ。アトモスやブレンハイムは俺より巨大だがあいつらにひけはとらない。いや、負けない自信がある。
隊長だからと部下達をコキ使うなどオヤジの船ではあり得ないし、こういう時こそ率先して動かなくてはならない。
周りの期待に応えるべく声をかけた。
「時間がねえ、重量物の甲板までの搬出は全部俺がやる!陸までの搬出は頼んだぜ!」
「ありがとうございます、ジョズ隊長!」
「隊長は海に入れませんからね!陸にあげるのは任せてくだせぇ!」
船員達からの活気ある返事が次々返ってきた。頼もしい限りだ。




大きな入り江のあるこの島は無人島で水や食糧の補給も容易い。時間のかかる傾船修理にはもってこいの場所と言えるだろう。
そして、普段は静かであろう砂浜には港町のような活気あるかけ声があちこちで上がっている。俺は豪語した通り、船倉と甲板の間を大砲や砲弾、木材を担いでひたすら黙々と運んでいた。
ロープ類や予備の帆布等、比較的軽い物を担いで運んでいる船員達は、俺が通る度道を譲ってくれるので、思った以上にスムーズに作業が進んだ。
最後の大砲を両脇に抱えて甲板に出、待機していた船員達に受け渡して一息つく。

辺りを見渡すと、各船のコック達が総勢で手土産の海王類をさばいていた。今夜の宴会で新鮮な肉が味わえると思うと今から楽しみだ。他の船に目を向けるとブレンハイムとアトモスが甲板にいるのが見えた。あいつらも同じく率先して動いていたに違いない。重量物の搬出は大方終わっているようだ。
3号船には大男がいないためかまだ作業が続いている。手伝いに行ってやろうぜと隣の船にいるブレンハイムに声をかけようとした矢先、後ろから名前を呼ぶ声がした。

「重量物の搬出は終わったようだねい、ジョズ」
振り返れば見慣れた親友達の顔が目に飛び込んでくる。流石だな、と呟いたビスタの手には、多量の紙切れとペンが握られていた。
マルコとビスタは物品チェックに追われているのだろう。ご苦労な事だ。俺には数字とにらめっこする頭はついていない。こうやって体を動かしている方が性に合っている。
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