管理人の献上箱

□(旧)日誌C:アトモスの秘密
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鳥は4号船の上を旋回し、ゆっくり高度を下げてきた。槍を投げれば確実に当たる距離になってもスピード・ジルは動かない。遠くから見ているエースはじだんだを踏んだ。
「なんで攻撃しねぇの?絶対いけるじゃねえか〜」
エースが叫んでいる間に、鳥は更に船に近づき、信じられない事にアトモスの頭の上に舞い降りた。

その瞬間、船のあちこちで残念そうな声があがった。エースの隣でサッチも額に手を当て、大袈裟に嘆き悲しんでいる。

エースは訳が分からず、サッチに問いかけた。
「え?何?一体どういう事なんだよ、サッチ!俺訳分かんないんだけど!あれなんで捕まえないんだよ!」
困惑するエースにサッチはおどけるように肩をすくめた。
「アトモスの頭に止まった鳥は捕獲しないって決まってるのさ」
「何その意味不明ルール!」
「何って。そりゃあお前、水牛アトモスだからに決まってるだろ」

言われた瞬間、エースの頭には水辺でくつろぐ水牛の姿が浮かんだ。小鳥が乗った水牛の顔が・・・

「えぇ!そんな理由!でも頭の上でウンコされたりしねぇの?その時は仕留めないの?」
「ないんだよなぁ不思議な事に。アトモスはのんびりしてっから、鳥の奴マジで牛と勘違いしてるんじゃねぇ?まあ、そんな事ないだろうけどさ」

エースが驚愕の表情を、それを眺めるサッチが残念そうな笑顔を浮かべている頃、4号船でも残念そうなどよめきが上がっていた。
「あ〜あ、やっぱ止まっちゃったか〜。命拾いしたなぁこの鳥」
スピード・ジルの言葉にアトモスは
「そうだな。残念だ」
と答えたが、その顔には笑顔が浮かんでいた。
「お前、絶対残念とか思ってないだろ!」
「そんな事ないぜ、なあ?」
問いに答えるように鳥は鳴き声をあげ、アトモスは小さく笑い声をあげた。


そんなアトモスを遠目で見ていたイゾウは溜め息混じりに呟いた。
「やれやれ。白ひげ海賊団の隊長ともあろう男が、小さい女の子みたいに鳥と戯れるのが趣味なんてしれたら・・・大変だな」

<END>
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