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□(旧)日誌D:夢叶えるは青い鳥
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その頃・・・港では、巨大な船が姿を現し、いつにもまして騒然としていた。
造船所から現れたこの船は、“白ひげ”ことエドワード・ニューゲートが注文したもので“世界最強の男”が乗るにふさわしく、力強く雄大な白鯨をモチーフに造られていた。
モビーディック号と名付けられたこの船は、4本マストに26砲門を備えた堂々たる姿で、乗組員を今か今かと待ち侘びているようにエドワードには映った。
“共に旅をしよう!少し待っててくれよ、相棒!”
心の中で声をかけ船を造船所に預けると、エドワードは力強い足取りで“息子”になってくれる優秀な船乗りを探すべく歩き出した。


この島の住人達の情報は早い。彼の持つ力と独特の誘い文句はあっという間に噂が広がり、船を出すのに必要な人数はすぐに集まった。皆が腕利きの水夫、海賊経験者で先は明るいものだったが、出帆の1日前の夜、宿で独り酒をあおりながらエドワードは物足りない気持ちを感じていた。
“家”と“家族”が手に入り夢が叶ったはずなのに消えない願望に、何が足りないのかじっくり考えエドワードはふと気付いた。
家族を持つ醍醐味が感じられないゆえに満たされないのではないかと。子供を持つ醍醐味・・・それは“育てる”と言うことだ。成長を見守り、自分の持つ技術を教え、一人前の男に育てあげる事。これに勝る喜びはない。しかし、熟練の水夫達に教える事は何もない。それでも可愛い息子達である事に変わりはないのだが・・・ストリートチルドレン達で溢れているこの島なら、抑えきれないこの願望を叶えてくれるはずだ。
エドワードの頭に理想像が広がる。
“船の生活は過酷だ。まず健康な子でなくちゃな。覚える事も山程ある。頭が良くて純心で素直な10歳位の子供がいいなぁ・・・”
期限は1日だ。明日、なんとしても見つけ出さなくては。と、エドワードは気合いをいれて残った酒を勢いよく飲み干すと、期待を胸にベッドに転がりこんだのだった。



翌朝、エドワードは情報を求めて町へと繰り出した。意識のはっきりしていそうな男達に片っ端からストリートチルドレン達の所在について聞いて回る。聞いた場所に足を運んでみたが、中々理想を叶えてくれそうな子供は見つからなかった。しばらくそれを繰り返し、エドワードは少し焦りを感じ始めていたのだが、町の外れで無視できない情報が飛び込んできた。その男曰く、“隣町に悪魔の実を食べて不死鳥になった少年がいるらしい”、と。
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