管理人の献上箱

□日誌F:プラネタリウム(ハート)
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へこみつつ反論するベポにペンギンはまだ何か言いかけたが、キャスケットがそれを制した。
「行こうぜ、ペンギン!じゃあな、ベポ。見張り頼んだぞ。後、ちゃんとトイレ掃除するんだぞ」
ペンギンはへいへい、と呟きながらキャスケットの後ろに続き、ベポはキャスケットの言葉に何か思い出したようにモニター室の端にあるトイレに走り、中を覗いて叫んだ。
「まだ綺麗だよ!紙も沢山あるし大丈夫!じゃあね!早く出ていって!」
ベポの言葉に軽くキャスケット達は手を振りながら緩やかな足取りで出ていったのだった。


数分後・・・

「食堂に着きました、船長。後はよろしくお願いします」
と、キャスケットからの連絡が入り、ローはゆっくり動力のボタンに指をかけた。
「G回路・・・切断・・・予備灯点灯・・・完了」
小さな声と共に電力が遮断された音が響き、予備灯の小さな光が薄暗く部屋を照らし始める。
ローは電力供給がうまく出来ている事を確認すると、壁に背を預けてどかっと腰を降ろした。ベポもつられるように隣に座り込む。

普段は口数の多いベポだが、独特の緊張感が部屋に漂っている事と、何よりローは矢継ぎ早に話されるのを好まない性分である事を長年の付き合いからよく分かっているので、黙って目の前で外の闇を大きく映し出している真っ黒なスクリーンをただ眺めた。小さな機械音とレーダーが発する規則的な音が静かな部屋に響いていた。



必要最低限の会話が繰り返され、時は刻々と過ぎ、燃料メーターのメモリは確実に減り・・・残り1日。
ベポの口に限界が訪れた。(普段の彼からすれば、3日もおしゃべりを我慢出来た事が奇跡に近いが)
「ねえ、キャプテン・・・」
「・・・なんだ?」
テンションの低い返事にもめげずベポは先を続けた。
「このままさ、船が止まっちゃって窒息して死んじゃったらカッコ悪いよね・・・」
「キャスケットの計算は正確だ。心配するな。それに、この程度のトラブルは可愛いもんだろ?海の上じゃあ星の数ほど嵐や戦闘で船が沈んでんだぜ」
冷静に語るローにベポは明るい声を返した。
「そうだね。海底に沢山船沈んでるね・・・俺達の船は最強だね!上にも下にも行けるから!」
ベポの言葉に、ローはこの部屋に閉じこもってから初めての笑顔を浮かべた。
「さすがに空には行けないけどな・・・」
「そう言えばそうだね〜」
ローの笑顔につられるようにベポも笑う。
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