管理人の献上箱

□(旧)日誌G:それはささやかな幸せ
2ページ/2ページ

「なんだ、もう上がってきたのか?隊員達はどうした?」
クリエルはススまみれの顔に満面の笑みを浮かべ、
「夜通し作業したからな、限界が来たらしい。皆、歓声あげた瞬間その場で寝ちまったよ」
と答えた。
「そうか。起こしちゃ可哀想だな。夜にでも労って酒を飲むとするか。お前も疲れたろ?少し休んでいったらどうだ?」
「そうだな。茶でも貰って目を覚まさねえと。今寝たらリズムが狂っちまう」

二人は船上に出てこじんまりとしている船長室へ向かった。(こじんまり、と言っても巨体のアトモスが使うのだからそれなりに大きな部屋であるが)


扉を開けると二人の目にイゾウの姿が飛び込んで来た。
「やっぱりここに来たか。お茶、淹れといたぜ」
そう言ってイゾウは優しい笑みを二人に向けた。
「おお〜さすが、気が利くなあ!お前さん」
アトモスの言葉にクリエルも同調するように相づちを打ち、誰がすすめる訳でも無く、自然にテーブルを囲むように腰かけた。
お茶を飲み、ちょっとした茶菓子をつまみながら、たわいもない話で盛り上がる。
「いきなりぶちこまれた時はビックリしたぜ。フォッサのブチキレようにはもっとビックリだったけどな」
「俺ァ大砲がぶっ壊れたって聞いた時は血の気が引いた。どの子がやられたんだ!絶対俺が直してやるから待ってろよ〜!!って叫んだぜ、心の中で」
「お気に入りのラクヨウが吹っ飛んでたもんな〜一大事だよな。クククク・・・!」
「アハハハ!違えねえ!でも俺はお前等が夜通し仕事してた事の方が驚きだけどな」
「お前だけじゃないか、そんな事で驚くの。俺だって帆がやられてたら夜を徹っして補修したぜ、きっと」
「そうなのか!お前ら立派だなあ。俺も頑張らねえとな〜」
「そうだぜ。少しはダイエットしねえと最近腹の出方やべえんじゃねえのか?」
「確かに、最近ますますかっぷく良くなってきてるよな〜。アトモスお菓子禁止だな!」
「なんだそりゃ!それは勘弁してくれよ!」


刺激のない日常は退屈なもの。
友と過ごす平穏な時間は大切なもの。

疲れを吹き飛ばすのは甘いお菓子。
それと、友の笑顔。

それは・・・ささやかな幸せ。
<END>
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ