黒子と美琴
□Kとある少女の日常風景
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黒子『…ん〜…あれ…?…お姉様!?』
黒子はガバッと起き上がる…
そして時計をみて、いかにもショックだという様に呟く…
黒子『そんなぁ…』
美琴「…? 何よ?
まだ時間には余裕あるでしょ〜?
…あっ…!?もしかして…早起きして片付けたい仕事とかあった…?」
美琴の頭に一瞬よぎった焦りは黒子の一言であっという間に吹き飛んだ。
黒子『わたくし…お姉様の寝顔…見損ねましたの〜!!?』
黒子にも黒子なりの1日の始まり方があるのだ…
美琴「んな゙っ!?
ば、バカな事言ってないで支度しちゃいなさいよっ…///」
黒子『うぅ゙〜…』
黒子は自分が恨めしいという様に、唸り声をあげながら美琴に飛び付いた…
美琴「な!?なにやってんのよあんた?」
黒子『もちろん、
寝顔が見れなかったので、お姉様分補充ですわ♪』
美琴「あんたねぇ…夕べ散々補充したでしょ!?」
黒子『はい!?』
美琴「…なんでもない…///
とにかく、私も着替えなきゃだから!
私が怒る前に離れなさい?」
黒子『はぁ〜い♪』
美琴補充が完了したのか、黒子はすっかりご機嫌になった…
――怒る前に離れろ
とは言ったものの、今の美琴には黒子を怒れるハズはなかった…
美琴(…まぁ、あんだけ眠そうにしてたから、
無理もないか…)
黒子が昨晩の事を覚えて居ないとなると…チャッカリ自分だけが、
黒子の言う所の
『黒子分補充』
をしていた訳だ…
なんだか自分だけズルした様な気持ちと恥ずかしさで、怒るに怒れないのだ。
支度しながら、ふと黒子が視界に入る
最近やっと見慣れた黒子のブレザー姿…
黒子がこの部屋に押し掛けてきた時は夏服だった…
その最初の印象が強いのと、共に過ごした時間が夏服ばかりだったので、最初見た時はなんだか違和感を感じた。
美琴の目に映る、黒子のブレザー姿は可愛い…
中1という成長期なので入学時は普通、少し大きめの制服を購入するのだが。
冬服は夏服と違ってその制服の大きさと身体の大きさの違いがわかりやすい…
まだ入学して半年程の黒子にとっては、そのブレザーは大きいままだ…
普段、なにかと動き回る黒子だが、体つき自体は華奢なので、その大きめのブレザーを着ると、よりいっそう華奢に…
というか。
一回り小さくなった様に感じる…
美琴(黒子はサイズが合わないと動きにくくて嫌だっていうけど…
なんかちっこくって可愛いのよね〜
守ってあげなきゃ…みたいな?…///)
黒子『お姉様?どうかなさいました?』
一人でノロケて赤面していた美琴に黒子が問いかける…
美琴「な゙…!!?
何でも無いわよ!
支度出来たならいくわよ?」
黒子『は〜い♪』
まさかニヤけてる所を見られるとは…
恥ずかしさについ口調が早くなる。
黒子『なんだか今日はあまり人が居ませんのね♪』
美琴「本当だ!…
まぁ、いつもより大分遅い時間だしね〜」
いつもは黒子が先に起きているので、美琴が起きてから二人で支度して部屋を出る…
だが今日は、美琴が起きてから時間ギリギリまで黒子を寝かせてた為、いつもより大分遅く部屋を出た…
黒子『…これなら手を繋いでも♪』
美琴「却下!」
黒子『ぇえ〜!?
何でですの〜!?』
いつもの時間に部屋をでると、何組かの生徒達と連なっての登校になる。
同じ寮から同じ学校まで向かうので当然だ…
だが今日は遅刻ギリギリなので周りに生徒の影は無い。
あったとしても、
皆遅刻しないように駆け足で通りすぎるだろう…
二人がそんな風に焦らないのは、もちろん黒子のテレポートがあるからだ。
黒子『…お姉様のケチ〜…』
と黒子は口を尖らせる…
二人はいつも、登校時は手を繋がない…
それはいつも他の生徒の目があるからで、付き合っていることがバレない様にするためだ…
下校時は、それぞれ
生徒が寄り道したりするので、人通りの少ない通り等では手を繋げるが…
そもそも黒子には風紀委員の仕事があるので、一緒に下校するチャンスが少ないのだ…
手を繋いで登下校…
というのが、
いかにも恋人らしくて黒子はねだっているのだ…
当然美琴は黒子が手を繋ぎたい理由も解っているし、出来れば繋いでやりたいが…
美琴「…癖になったらどうすんのよ…///」
黒子『はい?』
美琴「だからぁ!…今手…繋いで…癖になっちゃたら…どうして…くれんのよ!?…///」
黒子『……///』
という、美琴なりの理由があるのだ。
つまり美琴も登下校に手を繋ぎたいのだが、出来ないので我慢している…
それが今日繋いだせいで、我慢がきかなくなる事を恐れているのだ…