黒子と美琴

□L自慢の恋人…
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黒子
『はぁ…初春…一つ貸しですわよ?』

初春
「ありがとうございます♪」

支部から直帰した黒子は、その足で
外泊許可を寮に申請するも、
急だった為、
翌日の許可は降りず
翌々日…テスト前日の許可をやっとの思いでもらった。

部屋について美琴に甘えながら、
事情を説明した後で
初春に電話する。

黒子
『あ、初春ですの?
申し訳ないですが、
明日の外泊許可は降りなかったので、
明後日1日しか行けませんのですが…』

初春
「え?連泊してくれるつもりだったんですか?
ありがとうございます♪明後日だけでも大感激ですよ♪」


電話している初春のすぐ近くに居るのか
佐天の
『ありがとうございます』
という声が小さく聞こえる。


黒子
『そうですわね…明後日は、テスト前日で学校は午前中だけですし、
風紀委員もお休みですから、
半日かけてみっちり勉強致しましょうね!』

何やら黒子は燃えている…
何事も
中途半端にできない性格なのだろう…
教える…と言った以上とことん教え込むつもりなのだ。

初春
「よろしくお願いします♪」

また小さく、佐天の
『お願いします』という声が聞こえた…


どうやらハンズフリーにしてある様だ。
声の様子から、
ひきつった笑いを浮かべているのが解る…

黒子
『では初春、また明日支部で。』

初春
「はい、本当にありがとうございます♪
また明日♪」

――ピッ…

美琴
「喜んでた〜?」

黒子
『ええ、大感激と言われましたわ♪
佐天さんは少し、ひきつってた様に感じますが…クスクス♪』

美琴
「フフッ♪よっぽど勉強すんの嫌なのね〜
…黒子、ちゃんと真面目にやってあげなさいよ?」

黒子
『もちろんですわお姉様!
教えると言ったからには!
佐天さんを補習には行かせませんの!』

美琴
「ん、…良い娘♪」
ナデナデ

黒子
『お姉様〜♪』
ギュゥ〜

友達の為にと善意をもって行動したせいか、
美琴はいつもより優しく、
黒子もそんな美琴に甘えていた…

だが、実は、
黒子の話を聞いた直後から、
心の中に、モヤモヤとした気持ちが生まれていた…

美琴
(黒子が居ない…か)

付き合ってから一度も、離れた場所で寝るという事は無かった…

いつも数歩歩けば黒子が居る…
そんな生活しか送って来なかった美琴にとって、
黒子が居ない夜…
というのは、考えただけで寂しくて堪らなかった。

黒子自身は勉強を教え込む…
という意気込みのせいか、
夜寂しいかなんて考えても居ない様だ。

美琴はそれを残念に思う。
もし、黒子が

『お姉様と離れて寝るのは寂しい』

と一言でも言ってくれれば、

「しょうがないわねぇ…じゃあ初春さん達に、私も行っていいか聞いてみなさいよ?」

なんて言って、自分も外泊許可を申請してみようなんて思うものの…

なかなか自分から素直には言えない。

寂しいから私も行く

なんて、照れ屋の美琴じゃなくても
恥ずかしい…
そんなのが笑顔で済まされるのは、
小学校低学年までだ

言える訳が無い…

かといって、
黒子に行くなとは思わない…

友人の為に、
楽しくもない事に時間を割く恋人を
誇りに思うし、

美琴自身も佐天が心配で、
黒子が行けばどうにかしてくれる…
という、期待も持っている。

自分がたった一晩、
寂しいのを我慢するだけだ…
それでなんの問題も無いのだ…
これからずっと一緒に過ごすなら、
数週間…或いは数ヶ月別々に暮らす事だってあり得る…

だったら今回くらい堪えなきゃ…
と、頭では思うのだが…




結局、誇らしい恋人には優しいまま、
悶々しながら、
夕食、入浴を済ませた…

美琴
「……………」

今黒子は入浴中だ…

今日は黒子は甘えん坊だ…
髪を乾かしてとドライヤーを手渡されるだろう…
そして一緒に寝たいと言い出す…


と思う。

そんな事を考えながら、黒子のベッドを眺める…

手には携帯…
待ち受けは、前にこっそり撮った、
黒子の寝顔…

ふと、視線を携帯に移す…

美琴
「…っ!!だぁ〜!やっぱ無理!
恥でもなんでもいいわもうっ!」

半ばヤケになりつつ
初春の携帯番号を表示させ、
通話ボタンを押す…

「断られたら断られたらで、諦めがつくでしょうし!」
ドキドキドキドキ

自分の鼓動を落ち着かせるため、
思った事をわざと声に出してみる。

数コール音の後、初春の声が聞こえた…

初春
『はい、もしもし』

「あ…こ、こんな時間にごめんね!?」

『大丈夫ですよ♪
なんかあったんですか?』

「…あ…いや……えっと…」
ドキドキ

『……?』

「あ…明後日!……わ…私も……行って…いい…かな…?」

『…はい?』
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