黒子と美琴

□L自慢の恋人…
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美琴の軽口に黒子もムッとして
黙ってしまった…


初春・佐天
(どうしよぉ〜!!?!)

初春と佐天は顔を見合わせる…
突然始まった痴話喧嘩に巻き込まれ、
どうにも気まずい…

それも、自分達の言葉が発端となれば、
尚更気まずい…

喧嘩を始めた本人達は、二人共黙って膨れっ面のまま、
目を合わせない様に
大袈裟に顔を反らしている…

まるで小学生の喧嘩だ…

それを学園都市第三位の御坂美琴と
不良が恐れる風紀委員白井黒子が
やっているのだから
端からみれば
とても笑える光景なのだが…

この空間には何か、
ピリピリとした空気が流れていて、
とても、

面白い…

と思える空気ではない…

一言でも不適切な発言をすれば、
たちまち

レベル5の電撃使い
    と
レベル4の空間移動
    の
能力喧嘩に発展してしまいそうだ…

「……………」

沈黙が続く…
こういった沈黙に耐えきれず、
いつも状況を打破しようとするのは
佐天の役目なのだが

自分の勉強を教えて貰う為に、
三人を呼んだ手前、
簡単に口を開く事はできない…

何か状況改善の言葉を思いついて、
口を開いては、
言葉を発する前に、
もう一度考え直して頭を振っている…
また違う言葉を探しては、
また考え直す…
を繰り返している…

そんな佐天と、
小学生ばりの喧嘩を続けている二人を見ながら、
初春が重い口を開く

初春
「…お…お風呂…」

『???』

三人共、
ただの単語のみを発して黙る初春を、
不思議そうに見つめる…

初春
「今…ちょうど休憩中ですし…お風呂…今の内に…入っちゃいませんか?
四人居ると、全員入るの…時間かかるし
皆がお風呂出たら…ちょうど夕飯の時間になりそうですし…
眠く…なる…前に…お風呂………」

佐天
『そ…そだね!お風呂…入っちゃお…』

初春の提案に佐天も乗った…
とりあえず、この状況を打破できれば、
自然と熱は治まるだろう…


だが…


黒子
『…そうですわね。
夕飯を食べて眠くなってしまったら、
元も子もありませんからね…』

この、少し皮肉ともとれる様な、
黒子の発言を、
挑発ととらえたのか
淡々と言い返す者がいた…

美琴
「……誰の事…?」

この淡々とした発言に黒子も淡々と返す

黒子
『別に?誰とは申しておりませんが?』

初春と佐天は
途端に、空気がピリピリと音を立て、
二人の間に
火花が散った様な錯覚に陥る…

別に、美琴が電撃を放った訳ではない…

二人の雰囲気が、
そう感じさせているのだ…

再び四人共沈黙…


その沈黙を破ったのは意外にも
美琴だったが、
状況を改善しようとしている訳では無い

美琴
「…だいたいさ…
勉強しなさいしなさいって言うけどさ…
別に教授とかになりたい訳じゃないし…
そんなに口うるさくいう事なのかな…
学校で真面目に授業受けてればいいんじゃないの?
その後は、自分の将来の為の勉強すれば良いじゃん!?
パティシエになりたい人が、歴史の勉強すんのって意味あんの?」

初春
(確かに…)

佐天
(普段真面目じゃなくてすみません…)

美琴の言葉は、
別に黒子に対して言ったわけでは無い…

学校の顔だから…
学園都市の第三位なんだから…

と、授業を真面目に受けているのにも関わらず、
娯楽を潰して、勉強に励みなさい…

と言われ続けてきた
不満が口に出ただけだ…

当然、黒子も美琴の不満は知っているし
自分を含めた、
美琴に対する周囲の期待の大きさに、
申し訳ないと思う時もある…
だが、今の美琴の台詞には、
反論する黒子なりの理由があるし、
そもそも、この状況で言われれば、

言い返したいと思ってしまう…

黒子
『…何の知識が役にたつかなんてわかりませんの。
有名なパティシエになって、
何処かから祝日のお祝いケーキを作ってくれと頼まれた時、
その祝日に纏わる歴史を知っていれば、
より深い意味と思いを込めた物を作れますわ。
だったら、何事も勉強しておいて損はありませんの。
それに、
今のこの国が学歴社会であるなら、
後で慌て勉強するより、勉強しやすい環境に置かれている、
学生時代に勉強する方が得ではありませんの?』

初春
(ごもっともです…)

佐天
(なんかすみません)

美琴
「はいはい、だからあんたはいつも、
帰ってきてから机に向かってる訳ね!
偉いとは思うわよ?
疲れて帰ってきて勉強するなんて…
でも、人に押し付けるもんじゃないんじゃない?」

黒子
『押し付けてなんていませんわよ?
その方が良いと思うから、
提案しているだけですわ?』

美琴
「そういうの押し付けっていうのよ?
人の楽しみバカにしてさぁ!?」

黒子
『バカになんてしてませんの!』
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