黒子と美琴A
□とある真夏の怪奇現象…
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黒子
『…あら?初春、佐天さん…何をやってますの?』
初春
「こんにちは白井さん♪今、買い物帰りなんです♪」
『…買い物…帰り?
…パントマイムにしかみえませんが…』
黒子がパトロール中に偶然出会った初春と佐天…
二人は何も無い空間を、何か掴んでる様に歩いていた…
なんとも奇妙な光景だった。
中学生のパントマイムにしては上手すぎる…確かに何かを持っているようにしか見えないのだが、でも何もないのだ。
「えへへへ♪実はこれ、学園都市が生み出した、
超!透明アクリル板なんですよ♪
一回落としたらどこにあるかわからなくなっちゃうから慎重に運ばないといけないんです♪」
『だから二人がかりで運んでますのね?
超透明アクリル板なんて、知らなかったですわ…』
黒子は二人の中間の何も無い空間に手を伸ばす。
…ピタッ…
『凄い、ですわ…』
見た目には何も無いのに、確かに黒子の手は何かに触れた。
どこから見ても完璧な透明の板…
光を反射する事もなく、確実に
“透明”
を再現している。
この未知なる技術に興味をもった黒子。
『どういう原理ですの?光も反射しないなんて…』
キラキラと目を輝かせて、探究心剥き出しの表情で問いかける黒子。
初春は笑顔で答える
「なんでも、学園都市の特殊技術を使ってアクリルの中に、なんとかって物質を混ぜたらしくて…」
『…なんとか?』
「え〜っと確か…」
『白井さん?』
初春がうろ覚えの知識を呼びさましてる間に、突然、今まで黙っていた佐天が黒子に語りかけた。
『はい?』
『大丈夫ですか?
今、パトロール中なんじゃないんですか?』
『あ、…』
佐天に言われて一瞬呆けた黒子。
何も無い空間を名残惜しそうに見つめてから二人に会釈した。
『わたくし、失礼いたしますの。』
「あ、はい。邪魔してすみません。」
『じゃあ白井さん、また今度♪
風紀委員頑張って下さい☆』
『では…』
そう言って歩き始めた黒子の後ろ姿を眺める。黒子の姿が見えなくなった途端、
『初春のバカ〜』
佐天が初春の頬をつねる。
「いたたっ!!佐天さん、すみません〜」
『白井さんにバレたらどうすんの?』
「本当すみません。
純粋に疑問をもつ白井さんがあまりにも珍しくて…」
『いやぁ、確かに珍しいけどさ、私達はもっと珍しい光景を見ようとしてる訳じゃん!?
その為にわざわざこのアクリル板も買ったんだし。』
「ですね!今度から気をつけます!
フフフ…白井さん、もっと驚かせてあげますから待ってて下さいね♪」
『フフ…そうだよ、そのいきだよ初春♪
御坂さん、白井さん覚悟して下さいね…ウフフフ…』
二人はイタズラな笑みを浮かべてみつめあう。
もうすぐ夏休み。二人の計画は数日前からたてられていた。
―――
――
『ねぇ、初春♪夏休みになったら肝だめしやろうよ☆』
「ぇえ〜…怖いの嫌ですよぅ。」
『いいじゃんいいじゃ〜ん☆怖がる初春可愛いよ♪』
「いや、意味解りませんよ?そんな事言われても怖いのは嫌ですよ…」
『えぇ〜…白井さんと御坂さんも誘ってさぁ、皆でやろうよ肝だめしぃ!』
「あの二人と肝だめししたら、私と佐天さんだけで怖がってバカ騒ぎしちゃいそうですよ…」
『失礼だなぁ。アタシは初春みたいなビビりじゃないよ!』
「いいや!佐天さんはビビりですね!私には解ってます!いざとなったら私よりビビりますね!」
『ん…んぅ…そうはっきり言われると否定できないかも…』
「ほらやっぱり♪
そんな私達に比べて御坂さんと白井さんは動じなそうじゃないですか…
誘っといて私達だけ騒いで終わったら悪いですよぉ。」
『ん〜…御坂さんは意外と怖がりなんじゃないかな?あくまで予想だけどさ。』
「…そうだとしても白井さんの前で御坂さんが隙をみせるハズありませんよ。
白井さんの前で怖がってたら、白井さんが調子にのるに決まってますから…
そんで、強がってるうちに本当に慣れちゃって…怖くなくなって…
っていうのが御坂さんですね♪」
『初春の分析力は凄いねぇ。思わず納得しちゃったよ。確かに御坂さんはそんな感じね☆』
「白井さんはそもそも怖がらなさそうだし…というか、肝だめし中に突然、霊的現象を科学的に分析していきそうです。」
『うん。それはアタシも思う。』
「そんな訳で肝だめしはやりません。」
『ぇえ〜!?』
「なんで驚くんですか!?流れ的に当たり前ですよね!?」
『ん〜…だったらさ初春…?』
「はい。」
『私達で二人をさ…
驚かさない!?』
「それはっ!」
「面白そう…ですね…♪」