黒子と美琴A
□嘘では、ない。
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疲れきってた。
私も黒子も、皆。
初春さんと佐天さんは爆睡中。
今、私達は警備員の車に乗せられて、各自の家へと送ってもらってる。
先頭の車には、固法さんと婚后さん。
木山春生と、目を覚ましたのその教え子達はマイクロバスに乗せられて病院へ向かった。
テレスティーナを倒して、教え子達も無事に取り返して…
レベル6へのシフト計画も阻止して…
学園都市の壊滅も免れた。
私は、目の前におかれた問題を自分の意思で解決しただけなのに、木山春生はお礼なんて言ってきた。
元々、私が話をややこしくしちゃったんだけど…。
まぁ、あんたには痛い目にもあわされたし、今回は死ぬほど頑張ったし…
素直に感謝を受け取ろうかな?
…
…
さて、
私が素直に感謝を受け取るとなると…
私も素直に感謝しなければならない相手がいる…
『お姉様ぁ♪本日も格好良くて凛々しくて…わたくしお姉様に惚れ直しましたのぉ!』
…
…
…
コイツだ…。
白井黒子。
変態。
風紀委員。
空間移動能力者。
後輩。
ルームメート。
私の中ではコイツに関する肩書きは結構多い。
多いんだけど、私の腕に抱きついてきているコイツには、今はそのどれも当てはまらない。
パートナー…
それが今の私とコイツの関係を表すにはピッタリの言葉。
「黒子、疲れてるんだから離れて…」
力無く言うと、素直に私に絡めていた腕を離した。
まぁ、黒子も相当疲れてる訳だし…
いつもの疲れるやり取りをする気力はないみたい。
私が疲れきっている事を察して構って貰うのを諦めたのか、大人しく窓の外を眺めはじめた。
毎回毎回…うざったい程のスキンシップをしてくるくせに、本気で嫌がってる時はしてこない。
コイツも一応、空気は読んでる訳ね。
さて、なんで私がコイツにお礼を言わなければならないか…
今回の事で、
私はコイツ以外はパートナーとは認められないだろう…
と痛感させられたから…
つまり、
コイツがパートナーで良かった…
と思わされてしまったのだ。
敵の襲撃…
予想外のヘリコプターの参戦に一瞬躊躇した時、現れたのは婚后光子。
ヘリを撃墜して、いつもの仕草。
その表情には余裕さえ読み取れるが、敵は更に増えるかもしれないし…
私と黒子と婚后さん
三人だけでどうにかなるのか…!?
なんて思ったら、
いつの間にか固法さんのバイクに乗っていた。
黒子にテレポートされたんだ。
『お姉様は木山はるみを…!!』
私に向けるのは小柄な後ろ姿。
アンタは今どんな顔をしてるの?
私が一番気になっているのは、
木山春生の教え子達の安否。
あの子達を守るためには、なんとしても木山春生を無事に送り届ける事。
私のせいでこんな事になった。
もし、犠牲者がでたら悔やんでも悔やみきれない。
木山春生と、初春さん佐天さんが気がかりなのは事実。
黒子はそれを知っている。
顔も見せずに、行けと言う…
着いてこなかったら…承知しないわよ!
私なりの感謝の言葉
こんな時でも上手く伝えられない。
でも、アンタの気持ちは確かに受け取った!
私は私のやるべき事をやる。
悔いは残さない。
素直じゃない私の言葉でも、黒子はちゃんと解ってくれる…
『わたくしをお姉様のパートナー、白井黒子と知ってのお言葉ですの!』
相変わらず顔は見えないけど…戦闘中だというのに、嬉しそうな顔をしてるのが気配で解る。
でもそうね、
わざわざ言う必要は無かった。
だってアンタは、いつだって駆けつけてくれるんでしょ?
…
…
…
黒子に背中を押されて車を追ったら…
何これ!?ロボ!?
反則よ…
固法さんにも助けられて…
私はもう、誰も犠牲にしない!
負けない!
木山春生!あんたを絶対子供達の所へ送り届ける!
…
…
…
こっちに来て良かった。黒子の判断は正しかった。
車の中の無抵抗な3人相手に、卑劣な敵テレスティーナ…
でも…
私が来ても、戦況は変わらなかった…
なぜなら、レールガンを防がれてしまったから…
これ以上どうする事もできないの?
諦めるしかないの?
皆を巻き込んで…
誰も救われない?
誰も…
救えない?
否!!
私はまだ諦めない!!
絶対に皆を守ってみせる!
その為には…
アンタが必要なの。
お願い。
私のパートナー。
「黒子おぉぉ!!!!」
これ以上無いくらいの大声で、アンタの名前を呼ぶ。
私の叫び声は空へと消え去り…
代わりにアンタが空から現れた。
見せてやるわテレスティーナ!!
私と黒子の力を!