黒子と美琴A
□裏の裏は…?
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「白井さん、大嫌いです!」
『そうですか。』
「………」
春休み。
午後から支部に顔を出した初春の突然の発言に、顔色一つ変えずに答える黒子。
予想外の返答をされて初春は慌てる。
「ちち、ちょっと白井さん!?私今、白井さんの事大嫌いって言ったんですよ!?」
『ええ、ちゃんと聞こえましたわ。』
「な、ななななんでそんなに無反応なんですか!?」
『無反応…といわれましてもねぇ…。
では、初春はどう返して欲しかったんですの?』
「そりゃあ、
『わたくしは初春が好きですの!』
とか
『もっと優しくするから嫌わないで欲しいですわ!』
とかですよ!なのに白井さん…」
『わたくし、人に好かれる為に己を曲げるのは嫌ですの。
どうせ好かれるならば、嘘偽りのないわたくしを好いて欲しいですわ。』
「ぉお〜…さすが白井さん!格好いぃ…いや違った!格好悪いです!」
『……先程から何がしたいんですの?』
「あ、うぅ…」
『…もしかして…。
いつも以上に初春の言動がおかしいのは、今日が4月1日という事と関係があります?』
「いつも以上って…まぁ、そうなんですけど…」
『初春…エイプリルフールというのは、確かに嘘をついても良い日、と言われてますが…。
だからといって、わざわざ嘘をつかなくてもいいんですわよ?』
「う〜…だってさっきまで佐天さんと一緒に居たんですが、何回も騙されちゃって…」
『悔し紛れにわたくしに嘘を?』
「こ、コミュニケーションですよ!コミュニケーション!私と白井さんの仲じゃないですか♪冗談の一つや二つ言い合っても…」
『…まぁ、そうですわね。』
「ですよね♪いつもからかわれてる分、今日は張り切って白井さんを騙しちゃいますよ♪覚悟して下さいね♪」
『……まぁ、安心しましたわ。』
「はい?」
『わたくし、初春の事は大事な大事な親友だと思ってますから…嫌われた訳じゃないと解って安心した、という事ですわ♪』
「白井さん…私の事をそんな風に…」
ジーン…
『初春…今日はエイプリルフール、ですわよ?』
クスクス
「え?え!?」
『わたくしと初春の仲ですから、嘘のやり取りがあってもいいんですわよね?』
クスクス
「ちょ、白井さん使い方が違いますよ!!それじゃ本当は大事な親友と思ってないって事じゃないですか!」
『初春の嘘と何か違いまして?』
クスクス
「だ、だから!私は嘘で嫌いって言ったんですから、本当は好きって事ですよ!?でも白井さんは嘘で大事な親友って言ったから、本当は大事な親友じゃないって事ですよ!?」
『ええ、何か間違いでも?』
フフフ…
「ぁ!!さては白井さんわざとですね!?わざとそうやって!!また私をからかうんですね!?」
『さぁ♪』
クスクス
白井を騙してからかうつもりが、結局いつも通り白井にからかわれてしまった初春。
出鼻を挫かれた初春は、その日一日中白井の餌食になってしまった。
―――
――
『お疲れ様、初春♪
よく冷えたアイスティーがありますわよ♪』
「わぁ♪喉カラカラだったんです!ありがとうござ…!?
『フフフ…』
「白井さん!ホットじゃないですか!ホットじゃないですかぁ!!危うく舌を火傷する所でしたよ!?」
『初春には学習能力がありませんの?今日わたくしに何回騙されました?』
クスクス
「もう覚えてないですよ!朝から佐天さんと白井さんに騙されっぱなしです…」
『お陰で今日は楽しかったですわ♪』
「そんな事言って、白井さんはいつもと変わらないじゃないですか…。」
『そうですか?』
「いや、今日はたちが悪いのが多かったですが…」
『あら?そんな事が言えるなんて、初春はまだ余裕がありますのね♪』
「え゛!?いやいや!嘘です!嘘!」
『物足りない初春を次はどうやって騙してさしあげましょうかねぇ…』
クスクス
「あわわわ!し、白井さん!えと…えと…白井さんは御坂さんにも何かイタズラするんですか!?」
『…お姉様に?』
「は、はい!」
(良かった…上手く話を逸らせました)
ドキドキ
『いくらエイプリルフールでも、わたくしお姉様に嘘なんてつけませんわ。だいたいお姉様は今日がエイプリルフールだなんてご存知ないんじゃないでしょうか…』
「ええ〜まさか♪」
『いやいや、お姉様はそういうお方ですもの。意識してないと思いますわ。』
「じゃあ、御坂さんに嫌いって言ってみたらどうですか♪」
『何を馬鹿な…』
「白井さんが御坂さんに嫌いって言ったら、どういう反応するか気になりませんか?」
『う゛…!?』
「御坂さんに、嫌いなんて言った事無いんですよね?」