リハビリ

□“そこにあるもの”
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振り返るのが恐かった。

きっと私は、負けず嫌いとか努力家とか。
そんなんじゃなくて。
ただ、不器用なだけだったんだと思う。








振り返るのがこわかった。

皆、前だけみて走ってるんだと思った。

立ち止まったり…
立ち竦んだり…
歩いたり…

そんな事は考えもせず、気付きもせず。

不器用な私は、ただ前だけみて走ってた。







ふり返るのがこわかった。

走って。走って…。

ふとしたはずみで振り返ったら。
そこにはもう、誰も居なかった。

不器用な私は、独りぼっちになった事すら気付いてなかった。

だけど…

気付いてしまった。




それから、少し走ってまた振り返っても、やっぱり誰も居なかった。


走れば走るほど、孤独になるのに。

今戻れば、誰かに会えるのかもしれないのに。


不器用な私は、走ることしかできなかった。

“何か”を振り切るように、がむしゃらに…。


いつからか、振り返る事をしなくなった。

もう、そこには誰も居ないのがわかってるから。


がむしゃらに走れば、その分孤独は加速する。

それを…知ってたから。

それを…わかってたから。


ふりかえることがこわかった。





―――
――



『お姉様…また立ち読みですの?』

呆れた様な声。

「あぁ、黒子。何?警邏中?」

『えぇ、まぁ。…そんな事よりお姉様?もうすぐ門限の時間ですわよ?』

「だから今、帰ろうとしてんじゃん!門限遅れたら黒子に声掛けられたせいね。」

『まぁ!?お姉様、お姉様。それは聞き捨てなりませんわ?
そもそもギリギリに帰路につくのが間違ってますの!
何があってもいいように、時間には余裕をもってですねぇ、』

「あぁあぁ、はいはい。わかってますよ〜!
ったく。門限に着けば問題ないでしょうが…」
ブツブツ

『そういう怠慢な心構えがですね、』

「わかったわかった!お説教なら後にして。本当に門限過ぎるっての!」

『む、ぅん…わかりました。ではお姉様、お気をつけて。
わたくしも今から支部に戻って帰宅しますので。』

「はいよ〜、じゃ」

『はい。』


…振り返るのが恐かった。


「………」


不器用な私は、前しか見てなかったから…


でも。

「…ぁ゙〜黒子?」

『ッ、あ、はい。』


振り返れば。
いつもそこに。

「またあとでね。」


『……、はい♪』

貴女の笑顔。







不器用な私は、前だけみて走る。
でも、もう。

振り返るのは怖くない。

むしろ今恐いのは…

「…だあぁっ!!」

門限30秒前きっかりに玄関前に現れた…

「黒子にテレポート頼んだ方が早かったんじゃッ…!!?」

前方数十メートル先の影、かもしれない。







 完




※あとがき※

相変わらずな感じですみませんんッ…
よく意味がわからなくなりましたが。
ようはアレです。

黒子が居るから恐くない!的な?
ちょっと違うかなぁ…。んと、帰る場所があるから走れるとか、そんな感じです。

門限30秒前きっかりに玄関前に現れたのは、言わずもがな寮監様ですね。

あとちょっと、ってとこらへんで黒子がテレポートで帰ってきたけど、
美琴が数秒、門限に遅れて…

「あんたが話しかけたから」
『時間に余裕を』

と、キャッキャウフフで痴話喧嘩しながら掃除すればいいと思います。

ありがとうございました♪
 

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