イベント&リクエスト小説。
□2010,クリスマス
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2話構成です。(小説は独立してます)
下記から
美琴→黒子でシリアスほのぼの(!?)。
8ページから、
美琴×黒子で甘々。
【holy night…】
♪雨は夜更け過ぎに
雪へとかわるだろう
silent night
holy night ♪
またこの曲…
と、下校中の少女は内心一人ごちる。
「なんかさぁ、クリスマスソングって毎年新しい曲が出てるのにさ、街で流れる曲って代わり映えしないよねぇ…」
『“定番”となってるんでしょうね。長く愛される曲は本当の意味で名曲と呼ばれますわね。』
一人言の様に呟いた言葉に、隣から返答がきた。
「ん〜まぁ、良い曲ではあるんだろうけどさぁ…」
別に、毎年この時期に流れるこの曲が嫌いな訳では無い。
“定番”によって潰されてしまう、新人歌手達の応援をしてる訳でも無い。
「でも、なんていうかさぁ…」
一言で表すなら
“飽きた”
という表現が適切だろうか。
しかし。
その言葉はキラキラと輝くイルミネーションと、街の雰囲気に合わせて楽しげに笑う通行人達を、全否定してしまうのではないか?
と、御坂美琴は言葉を飲み込む。
『飽きましたの?』
そんな美琴の思考などお構い無しに、白井黒子は最短で確実な答えを口にした。
「っ、バカ!!」
慌てて黒子へと視線を向ける美琴だが、
『お姉様はクリスマスを意識しすぎなんですわよ♪』
と黒子は微笑するだけだった。
「意識しすぎって」
その言葉を受けて周りを見渡すも、もちろん誰も美琴に怪訝な目を向ける者など居ない。
『ほら、ご覧なさい誰も気にしてなどいませんわよ?』
「………」
当然だった。
もちろん、賑わう街の中の二人の少女の会話に興味を持つ者がいない。というのもあるが。
それ以前に、彼、彼女らはそんな言葉を受けても、
せっかくの楽しい雰囲気に水がさされた…等とは思わないのである。
街の全体が華やかに彩られ、その雰囲気に皆が浮き足だったのは確かだが、別にそれはクリスマスだからでは無い。
一年三百六十五日。
その中に適度に埋め込まれた、祝日の一つでしかなかった。
街が賑わうなら、別にクリスマスじゃなくても良かったのである。
「……むぅ…」
その事実を突きつけられ、美琴はつまらなそうな顔をした。
『この街ではお姉様くらいなものですわよ?
クリスマスは
“聖なる夜”であるだとか“良い子にしてないとサンタさんが来ない”と信じてるのは。』
「そこまで子供扱いしないでよね!?私だってサンタなんて信じて無いわよ!!」
『どうでしょう♪』
からかうような目。
「だから信じて無いっての!!」
『わかりましたわ、図星だからといってムキにならないで下さいな♪』
「こんのぉ〜!!!」
『あらあら、いいですの!?サンタさんが来てくれなっ、
「しつこい!!!!」
一瞬。イルミネーションよりも眩く輝く閃光が走る。
『ぁうっ!!』
ここは科学の街。
学園都市ではオカルトや宗教の類いは信仰されてない。
しかしクリスマスは訪れる。
それは思春期の学生達にとっては、欠かせないイベントの一つであった。
「でも…皆楽しそうにしてるじゃん。
それはやっぱりクリスマスだからでしょう?」
『いいえ。クリスマスだろうがクリスマスじゃなかろうが、お祭り騒ぎになればなんでもいいんですのよ。
結局イチャついたりできれば…』
そういって黒子は周囲を見渡す。
どこもかしこもカップルだらけだ。
『ケッ…!!わたくしにだってお姉様が居るんですからね!』
誰に言うでもなく呟いて、美琴の腕に絡み付く。
「………」
《ゴチンッ》
『痛っっ…だいたいここは日本ですし、学園都市ですし。クリスマスの本来の意味を意識してない…いえ、理解してない学生の方が多いと思いますが…』
「わかってるわよそんな事…でも、」
『でも、も何も。なんならそこらを歩いてるカップルに聞いてみればいいんですの〜。
貴方達がイチャついてるのはクリスマスだからなんですの?って。』
「…ずいぶんとクリスマスが嫌いみたいね。」
『別にクリスマスに限った事ではありませんわ。
祝日だからってハメを外す学生が多いと風紀委員としては喜べませんのよ。』
「あぁ、まぁそうかもね。」
『だいたい、クリスマスもバレンタインもハロウィンも…
本来の意味も理解せずに、ただお祭り騒ぎがしたいだけで。そんなミーハーっぷりに呆れてしまいますわ。』
「………そうね。」
確かに、私達が意識していないだけで本来はちゃんとした意味がある取り組みだった。