黒子と美琴

□H私の味方…
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美琴「黒子、球技際
あんたは何の競技にでるか決まった?」

ベッドに腰掛けている美琴は、
デスクワーク中の黒子に問いかけた。

明後日、二人が通う
常磐台中学で球技際が行われる…

バスケやテニスやバレー…

各クラスから代表を選抜し、

学生を問わず、全校で優勝クラスを争うのだ。

黒子の身体能力の高さから、
何かしらの競技に選抜されているだろうと、
予想しての質問だった…。

黒子『…わたくしはテニスの選手に選抜されましたわ…』

カタカタとパソコンのキーを叩きながら
口を尖らせて黒子は答える。

どうやら不本意に決められた様だ…

テニスは他の集団球技と違って、
各クラスから選抜される代表は一人だけだ…

当然、身体能力が高い者が選ばれる…

自分の意思は反映されずに、半ば強制的に決められた。

体を動かす事は嫌いじゃないが、
無理矢理代表に決められたうえ、
クラスの期待を一心に背負う事になってしまったのが
腑に落ちないのだ…

フゥ…とため息をつきながら、パソコンを閉じる黒子。
どうやら仕事に区切りがついたようだ。

黒子『お姉様はどの競技に?』

振り向きざまに美琴に問う…


美琴は黒子を見ながら固まっていた…

黒子『……お姉…様…?』

美琴「………ス…」

黒子『………?』

美琴が何か呟いた様にみえたがよく聞こえない…

黒子はゆっくりと美琴に近づいて、美琴の隣に腰掛けた。

美琴「…テニス…」

黒子『……!?』

成る程…言いにくい訳だ…
美琴もテニスの選手に選ばれていたが、
黒子も同様にテニスの選手だったとは…

二人はお互いクラスの威信をかけて戦う事になるのだ…

美琴「まぁ、アンタと当たるかはわからないしね!」

黒子『そうですわね!クジ運が悪ければ別ですが…』

二人してアハハ…と笑うが、どこかひきつった笑いだ。

テニスの試合は最初、クジでグループを決め、
そこからは勝ち抜き戦だ。
よっぽどクジ運が悪くない限り、
いきなり二人が戦う事はない…

だが、このひきつった笑いの正体は、

お互いに、相手が決勝まで残るだろう…
という、信頼の様な期待の様な気持ちがあった為だろう…

勝ち抜き戦ならば結局、どちらかが途中で敗退しない限り、
いずれぶつかる事になるのだ…

しかもお互い、スポーツだろうがなんだろうが

やるからには本気でやる!!


という根性の持ち主だ…。

恐らくぶつかる事になるであろう…
という考えを持たずにはいられない…


美琴「あ、私そろそろお風呂はいっちゃうね!」

黒子『はいですの!』

お互いの気持ちを察している二人は、
その後球技際の話題を出さなかった。


―そして球技際当日

美琴「あ、黒子♪」

黒子『お姉様♪』

体育着姿の生徒でごった返すグラウンドで、お互いを見つけて呼び合う…

柳「御坂様〜ご機嫌麗しゅう〜♪」

黒子の補欠兼、マネージャーの柳が美琴に挨拶する。
柳は身体能力が極めて高い訳では無く、
他の競技には選抜されてなかった。
当然、テニスの補欠なんかに選ばれるハズも無かったが、
黒子がどうしてもと柳を推薦した…。

クラスの威信を背負う黒子には、
少しながらプレッシャーというものがついてくる、
友人の柳は、そんな自分に
追い討ちをかけるような事はしないと思ったからだ。

要は
「クラスの為に」
だの
「貴方が頼り」
だのという在り来たりな声援は送らないという事だ。

美琴「こんにちは♪
よろしくね!えっと…」

柳「柳です〜
柳風香と申します〜
是非お見知りおきを〜♪」


美琴「柳さんね♪私は御坂美琴!
そこの白井黒子とルームメートなの♪」

柳「存じてますわ〜御坂様〜♪」

柳と軽く挨拶を交わした美琴は、小声で黒子に問いかける…

美琴「私…柳さんとどっかで会った事ある気がするんだけど…?」

黒子『き…気のせいですわお姉様…!!
ほら、以前彼女の能力を、お姉様にお話しした事があらますので、
そのせいではないかと♪』

焦った様に笑う黒子

実は柳と美琴は面識があるのだが、
それは美琴が眠っている時だった為、
美琴には「初めて会った気がしない」という違和感だけが残っていた…
そして訳あって、
黒子は眠っていた美琴と、
柳と接触した事を隠しておきたかった…

そんな黒子の心情を美琴が知るよしも無く
更に問いかける…

美琴「柳さんの…能力?」

黒子『ええ、以前お話しした、
夢創造主ですわ…』

その言葉を聞いて美琴はハッとする。
確か人の夢を操る能力…
その能力を使って、
弟に悪戯をするクラスメートの話を、
黒子から聞いた事があった…

美琴「この娘が…」

美琴は話を聞いた印象と、小柄な少女がどうしても結びつかなかった様で、何度も柳を見直した。
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