黒子と美琴
□Kとある少女の日常風景
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―ピピピッ…ピピピッ…ピピ…カチッ!!
美琴「……ふぁ〜…ん〜っ!」
御坂美琴の1日の始まり方は決まっている…
まず、
やかましい目覚まし時計をとめて。
大きなアクビと大きな伸びをする…
そしてそれを隣でニコニコと眺める黒子に驚き、黒子に枕を投つつ。
1日の始まりが黒子の笑顔で始まるのを密かに喜ぶのだ。
寝起きに隣に人が居るのは毎日やられても慣れない…
必ず心臓がドキッとして、慌てて枕を投げた後。
朝一番に黒子の笑顔を見た事を嬉しく思うのだ…
そうして御坂美琴の1日が始まる…
のだが……
美琴「………?」
いつも起きると、自分のすぐ横で寝顔を眺めている黒子…
…が…まだ寝てる…
決して寝顔を見られたい訳でも、寝起きに驚かされたい訳でもないが。
いつもと違うと調子が狂う…
美琴(ぁ…そっか…)
ノロノロと起き上がりベッドから降りる…
美琴(昨日…すごく疲れてそうだったもんな…)
そんな事を思いながら黒子のベッドへゆっくり歩いてく。
美琴(……相変わらずすごい寝相…)クスッ
寝る前に黒子に掛かっていた筈の掛け布団は、申し訳程度に黒子の足に掛かっており。
黒子の寝相に投げ出された大部分は重量に逆らえずに床に落ちている…
美琴(フフッ…可愛い寝顔…///)
黒子の寝顔を眺めながら、掛け布団を直してやる…
そして黒子のベッドの端に腰掛ける…
時計をみて、もう少しだけ寝かせておいてやろうと思った。
――
―
昨日の黒子は憔悴しきっていて。
帰ってくるなりベッドに倒れ込んだ…
風紀委員の仕事が相当忙しかった様だ。
夕食時に起こすと、ほとんど無言のままノロノロと食堂に向かい…
部屋に帰ってきた後は先程までの、
疲労による睡魔と、満腹感による睡魔で意識朦朧状態だった。
美琴の制止も聞かずに風呂に入ると言いはるので、仕方なく美琴はシャワーなら可という条件をだした…
湯船で寝られたら命に関わる…
ヨロヨロと浴室に向かった黒子がどうしても心配で、美琴は脱衣場で待機していた。
黒子が浴室から出て来るのを見計らってまた、脱衣場のすぐ前で待機していたのだが…
美琴の不安は的中し
――ゴンッ!
という音に慌ててドアを開けると、
寝間着のボタンに手をかけたまま、
ぶつけたままの頭を壁にもたせて斜めに立っている黒子がいた…
美琴は黒子を真っ直ぐ立たせてボタンを留めてやり、黒子の手をひいて部屋へ戻った。
黒子を椅子に座らせてドライヤーで髪を乾かしてやる…
その間も黒子は
コックリ…コックリ
と、重たい頭を何度も上下させていた…
髪を乾かした後ベッドまで手をひいて連れていくと、
美琴にギュッと抱き着いてくる…
そしてまた重たそうに頭を動かす。
「ちゃんとベッドで寝なさい?」
と優しく言ってもまともな返事は返ってこない…
『…ん〜…』だの
『…う〜』だのと言いながら、
ただただ、美琴にしがみついている…
寝惚けている黒子はまるで甘えん坊の子供の様だった…
そんな黒子があまりにも可愛くてずっと頭を撫でていたが…
急に体が引っ張られた…。
美琴にしがみついたまま、黒子はとうとう寝てしまい、美琴もろともベッドに倒れ込んだのだ。
美琴はベッドに両手を付き、黒子の体の上に落ちるのは防いのだが、美琴の腰に回した黒子の手が緩む気配はない…
(どんだけ甘えん坊なのよ…///)
なんて思いつつ
内心凄く嬉しいのと黒子が可愛いのと。
今動いたら起こしてしまうんじゃないかという思いで、
キツい体制を維持したまま数分耐えた…
やがて腰からするりと腕が離れてベッドに沈む…
どうやら、完全に爆睡モードに入った様だ。
美琴は黒子の体の下にある掛け布団をズルズルと引き出して黒子に掛けてやった。
その動きに少しも反応しない程爆睡状態だった黒子に、
美琴が何度も口付けたのは言うまでもない…
散々可愛い行動をとられた後、
無防備に天使の様な寝顔を見せられてしまったのだから…
――
―
今も尚爆睡中の黒子の寝顔をみながら、
昨晩の自分の行動を思い返す美琴…
一人真っ赤な顔で自分に言い訳を立てる
(黒子が可愛い過ぎるのが悪いのよ!!)
時計をみる…
そろそろ起こした方がいいかな…?
でも…
その前に…もう一度だけ…///
と、
スヤスヤと眠る黒子に口付けながら、いつもと違うこんな1日の始まりも、たまにはいいかな…
なんて思ったりした
寝顔に口付けた自分が赤面してるのが解ったため、
少し時間がたってから起こす。
美琴「黒子〜そろそろ起きなさい?」