黒子と美琴

□L自慢の恋人…
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佐天
『っ…ぁあ〜っ!!』

四人の少女が一つのテーブルを囲む中で

この家の主は大きな声をあげて、
伸びをする…

初春
「アハハ…佐天さん、お疲れ様です♪」

黒子
『キリがいいので
一度休憩にいたしましょうか?』

佐天
『本当ですか〜♪
是非!休憩にしましょう☆』

初春
「じゃあ私何か飲み物入れてきますね♪
台所借りますよ?」

美琴
「あ、初春さん、私も手伝うよ♪」

初春
「いえ、先生方は休んでて下さい♪」

美琴
「先生なんておおげさな…クスッ♪」

黒子
『まぁ、お言葉に甘えましょうお姉様♪
初春なりの罪滅ぼしですので…クスクス』

初春
「罪滅ぼしじゃないですよ!
感謝の気持ちです!
感謝の気持ち!」

美琴
「解ってるよ初春さん♪それじゃお願いするわ♪」

と言って美琴は立ちかけた姿勢を戻す
それをみた初春はニッコリ微笑んで台所に向かった…

時刻は夕方…

いつもならそろそろ門限だと、
常盤台コンビは帰り支度をする頃だが、
今日はゆっくりとしている。

それもそのハズ、
今日は二人揃って寮から外泊許可を貰っている。

テーブルの上に
所狭しと並べられた
ノートや教科書等を片付けて、
コップを並べられるスペースをつくる。

四人で一夜を明かすきっかけになったのは、
一昨日の初春の言葉だった。


初春
「勉強教えてください!」

黒子
『…………はい?』


所属する支部に顔をだした途端、
いきなり初春に頭を下げられた…

黒子
『あの…一体…?』

訳が解らず聞き返す黒子に、
初春は両手を合わせて頼み込む。

初春
「明後日の期末試験…佐天さんがヤバいらしくて…
佐天さんの力になりたいんですが、
私も余裕がある訳ではなくて…」

黒子
『…ヤバいというのは……特別補習の事ですの?』

初春
「はい、規定にギリギリ…どころか…
その…全然届かない様で…
私はたぶん、規定は大丈夫なんですが、
教えるの上手くないし…」

黒子と初春の言う、

特別補習…
規定…

というのは、
学園都市内で不定期に開催される、
名前の通りの特別補習である。

今回は、期末試験の成績が著しく悪かった者が対象…
という事だ。

中学生は中学生
高校生は高校生

と、各段階にわけて
学園都市全体から、
規定に達しなかった
学生達を、
一挙に勉学に努めさせよう…
というものなのだが

今回、佐天がその補習に行かなければならないかも…
という事態に陥っているのだ…

中学生を学年別にひとまとめにするので

当然、偏差値の違いから、
学校によって規定の値が違う…

名門中学と名高い常盤台中学の規定は、

一教科でも50点未満があれば…

というシビアな規定に対し、

初春達の通う学校の規定は、

3教科以上、赤点をとったもの…

という、努力でカバーできそうな規定なのだが、
普段から授業を真面目に受けていなかった佐天にすれば、
その規定ですら
危うい!だそうで、
初春に勉強を教えてくれと泣きついた。

親友の為ならばいざ

と勢いで、
数日佐天の家に泊まり込んだはいいものの、
初春自身、成績は
中の上…もしくは
上の下…といった辺りで、
別段優秀という訳では無く、
更には教え下手…というやつか…

ついつい佐天が解らない問題の、

解き方…

ではなく、

答え…を言ってしまう…。

初春の中の、どうにか親友を助けたい
という焦りと、
天性の優しさ…いや
この様な場合は
甘さ…
と言った方が正しい
だろう…
それがそんな結果を生んでしまう。

その場その場で答えを教えるだけでは、
全く何の意味も無い

宿題なんかならともかく、テストは一人で行わねばならぬのだ…

ともすれば、ちゃんと解き方を教えなければ…
しかし、自分には無理とみて、
白井黒子に白羽の矢がたったのだ…

初春
「前に、白井さんに宿題を見てもらった事あるじゃないですか!
あの時、凄く解りやすく教えてもらったんで♪」

初春の言葉は、
何とか首を縦に振ってもらおう…
という、下心があるものではなく、
心から出た本音である…

白井黒子という人物は、
何事においても、
その場凌ぎの解決ではなく、
後々本人の為になるような言い種や、行動をとる事が多い…

それは一見すると、
助けてくれてないような…
冷たい人と、とらわれがちだが、
時間が立って、白井からの教えを活かす事態に陥った時、

初めてそのありがたみ…
本当の優しさの意味に気付くのだ…


初春の必死な懇願に折れたのか、
いや、きっと友人の為に…
と頼み込んだ時からすでに決めていたのであろう…

ため息をついた後、
渋々…という顔で協力をする
と意思表示した。
 
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