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□No.6,5…
初めての×××
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美琴「……ハァ」

――美琴は最近ため息をつく事が多い…

あの日…
黒子への二度目の告白をした日…
黒子のスキンシップに理性をなくしそうになった日…

あの日からある想いは募るばかりだ…

美琴(…黒…子)カアァ

普段は意識していないが、
ふとしたはずみで、
あの日の事を思い出してしまう…

本当に理性がとんでしまったら、
自分はどんな風になってしまうのか…

そして黒子の淫らな姿を思い描いてしまう…

身体が火照り

愛しい彼女の肌の温もりを感じたくなってしまう…

そんな自分の
欲望と理性の狭間で葛藤し、
ついついため息を漏らしてしまうのだ…

美琴(黒子……早く帰ってきてよ…)ドキドキ

――二人の部屋のドアの前

黒子(……)ドキドキ

(………やっぱり緊張しますの…)フゥ

――ドアの前に立つ黒子は、なかなか部屋に入れない。

それというのも、
ここの所毎日、
帰宅する黒子を
美琴は真っ赤な顔で出迎えながら口づけをするのだ。

ずっと美琴を想っていた黒子にとって、
それはこのうえない悦びであるが、
想い人の行動に緊張し、つい固まってしまう。

口づけをした後
何もなかったかの様に、机に向かう美琴を前に
(といっても美琴は照れ隠しなのだが…)
黒子の思考回路は一時停止してしまう。

ボンヤリと唇の感触の余韻に浸りながら、
破裂しそうな鼓動がおさまるまで動けずにいる。

当然、机に向かって読書するふりをする美琴も、
黒子と同様に、
固まるくらい緊張し、
自分の鼓動をおさめるのに必死になっている。


美琴のこの行動は、
あの日から毎日続いている。

黒子からすれば、
それは美琴からの愛情表現だと素直に感じるが、
当の美琴本人は、
自分の中だけでは制御しきれなくなった感情を、
口づけをする事で黒子と共有し、
自制心を保とう…
という目論見なのだが、逆効果なのはいうまでもない。

黒子がドアの前で
緊張したまま突っ立っている事など知らぬ美琴は、

一人で悶々としているのだ…。

美琴(……黒子…)カアァ

美琴(やっぱり…キスだけじゃたりない……。
もっと黒子に触りたい。
触られたい。

身体中で黒子感じたい……
でも……恥ずかしい……///)

美琴(黒子は…キスだけで満足なのかな…)

――ドキドキドキドキ

美琴(…私は……黒子とキス…すると……
身体中が火照っちゃって……
もっと…黒子を…感じたくなっちゃう……

でも…黒子は…?

…付き合う前は…あんなに…
平気で恥ずかしい事言ったり、
色んな所触ろうとしたり、

なんか…過激…だったのに……。
…黒子……///)

美琴『ウッ…///』カアァ

美琴(な…なに考えてるのよ私…!!)ブンブン
美琴(これじゃまるで、
前みたいな変態行為を期待してるみたいじゃないっ!!?)ドキドキ

美琴(私は、そんな変態じゃない………ハズ……。
期待…なんか…して………ないもん…)

美琴「…はぁ…」

――ドキドキドキドキ

今日も一人で悶々として、ため息を吐く。


早い話が美琴は黒子に抱かれたいのだ。

しかし、
それが実際どういう行為なのか、
よく知らないながらも、

初めて…人を本気で愛した、
身も心もまだ幼い少女である美琴には、

それはとても卑猥で、

恥ずかしくて、

自分の日常とは、
とてもかけ離れた場所にあるものだと思っていた。

だから素直になれない。
言えない。

黒子が欲しい…と。

――ガチャっと音を立ててドアが開く。

黒子が緊張しながら部屋に入る。

美琴「お…おかえり、黒子……///」

黒子『ただいま…ですの…///』

――緊張で固まってしまうが、美琴からキスされるのは、
やっぱり嬉しい…。

キスを意識してしまいながら返事をする黒子も、
思わず赤面してしまう。

美琴もいつも通り、顔を真っ赤にしてベッドに腰かけていた。


…だが、今日はいつもと違った。


黒子に声をかけた美琴は、
つい今しがた考えていた事を、
黒子に悟られぬ様にと、
顔を背けて
スッと立ち上がり、机に向かった。

黒子(っ…!?)

――緊張しながらもキスを期待していた黒子は、
美琴の態度に呆気にとられてしまい
美琴が椅子に座るまで、
その場でポカンと佇んでしまった。

美琴(平常心平常心)

と心の中で呟いて、机の引き出しから本を取り出す。

美琴は、
難しい漢字で埋めつくされた本を読むことで、いつもギリギリで平常心を保っていた…。

――ガタッという、机の引き出しを開ける音で、黒子はハッと我に返る。

黒子『………キ…………キス…は?』
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