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□これからも永遠に
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救世主(メシア)が現れてこの地球(ホシ)は救われた。


僕たちがしたことにはどんな意味があったのだろうか。
結局僕たちがいなくてもセーラームーンさえいれば良かったのではないだろか
ただのタリスマンの器だったのではないか。




ーーーーーーーーーーー

ファラオ90との戦いが終わった。ピュアな心と、聖杯を解放したセーラームーンは力を使い果たし、赤ん坊になったほたるを抱いていた。その目は虚ろだった。

ネプチューンは赤ん坊になったほたるをセーラームーンから取り上げる。セーラームーンはその場で崩れ、意識を手放した。

僕たちはその場を後にした。





「ウァーン!ウァーン!」

まただ…。
戦いからまだ間もないのにほたるのひどい夜泣きのせいで僕たちはノイローゼになりそうだった。
特にひどいのはみちるだった。
夜泣きの激しいほたるが僕の負担にならないよう、みちるは気をつかってかそっと外へ出てほたるをあやす。
僕もほたるの夜泣きに気づかなかったわけではないが、どうしようもない疲れに負け、ついみちるの優しさに甘えてしまう。
起きなきゃいけないかな?と思っていても、身体が重くて動かなくて、ついそのまま寝てしまうのだ。

「あーっ!キャキャッ!」

ベビーチェアに座ったほたるがニッコリと笑う。

「昼間はご機嫌なのね、ほたる。夜はあんなにご機嫌ななめなのに」
「まったく、かんべんしてほしいよ・・・」
「でも笑っていると可愛いわ。天使みたい♪」
「泣いてるときは頭が痛くなるけどね」

いつもと変わらないしぐさ
いつもと変わらない会話
いつもと変わらない笑顔

でも、何かが違う君。
それを1番感じるのは夜だった。
まるで何かを怖がるように、君は体を胎児のような丸まり眠る。
自分自身を抱きしめるように・・・。

そして今夜もまた、ほたるとの格闘が始まる。
「ウァーン!ウァーン!」
みちるは気怠そうに起きる。
「ほたる、お外に行きましょうね」
「みちる、僕が行く。君はもう少し睡眠をとった方がいい。」
「大丈夫よはるか。心配しないで」
「いいから」

半ば強引に、ほたるを取り上げる。

「次にほたるが泣いたら、そのときはみちるに行ってもらうから」
「わかったわ。ほたるを冷やさないようにね」
「了解」

ほたるの夜泣きは私にとって苦痛だった。
昼間の泣き声は、そんなに辛くないが、夜に聞く泣き声は、私を不快な気持ちにさせる。責められているような、そんな気になるのだ。

でも、私にとってほたるは、今はるかと一緒にいるための唯一の理由だった。
ほたるを土萌教授に返してしまったら、私ははるかといる理由を失ってしまう。
それが私は怖かった。
はるかを失うことを、考えただけでも涙がこみあげてくる。

私はまたギュッと身体を抱きしめる。







ほたるの夜泣きがおさまり、寝室に戻ると、みちるは眠っていた。
また小さく丸まり、苦痛そうな表情をして。
一体みちるは何に苦しんでいるというのだらう。

ほたるを殺そうとしたことか。それとも今までの自分たちの戦い方への疑問か。苦しむ理由は沢山ある。それは僕も同じだ。だがみちるは僕以上に、何かに悩んでいる様子だった。
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