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□花火大会
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「もぅっ!じっとしてちょうだい。着付けられないじゃない」
「ハイハイ」

みちるはじっとしてられない僕の着付けにさっきから苦戦している。

「できた!完璧ね」
「はぁ。やっと終わった?」
「えぇ。お利口さんでした」

子供にするように、僕の頭を撫でる。

「じゃあそろそろ出かけようか」
「待って、髪の毛を結ってくるわ」

まったく、お姫様の身支度は時間がかかる。
だいたい、ただでさえ綺麗なのにこれ以上綺麗になったら君に群がる奴らがよってくるからやめてほしい。

「お待たせ、はるか」

いつもと違う髪型にドキッとする。
似合ってる、すごく綺麗だ。なんて言うとみちるは頬を赤らめる。

「さぁ行こうか」

僕はみちるに手を差し出す。

「えぇ」

車に乗り込み、花火会場へと車を滑り出す。
ふと助手席を見ると、いつもの落ち着いた表情とは違い、ウキウキした彼女の顔。

「なんか今日すごく楽しそうだね」
「だって私、花火大会なんて始めてなんですもの!」
「えっ行ったことないの?」
「えぇ、初めてよ」

「じゃあ今日はめいいっぱい楽しまないとな」


信号が青に変わり、僕はアクセルを踏み込んだ。
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