EiBel

□U. 繰り返されるは緋色の悲劇
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緋色に染まった部屋の中に、たたずむ男が一人。

足元に転がる“彼女だったモノ”を見下ろして。

あぁ、今度こそ

今度こそ終わるやもしれぬ。

そう思えども、願いは裏切られ。

部屋に散らばる血は赤く光りながら“彼女だったモノ”に集まり、“彼女だったモノ”の瞳が紅く輝く。

そうして“彼女だったモノ”は“彼女”に還った。
男が握るナイフに、一滴の血液も残さずに。

それを見つめるは男と、床に散らばる彼岸花。

血を固めたような花が見守るなか、“彼女”の艶やかな唇が開く。

紡ぎだされる言葉を、男は既に知っていた。
それが幾度も繰り返された唯一の言葉であったから。


「お願い…」


私 を 殺 し て …
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