セクゾなティーチャー

□少女漫画の王子と、奴
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「名無しさんちゃ〜ん、名無しさんちゃんって教員対抗リレー赤組白組どっち〜?」


『え?赤だよ、マリちゃんは?』


「僕はね、白」






体育祭当日。天気は快晴、気分もまぁよしである


うちの学校には、生徒の競技が終了した後、恒例である教師による紅白リレーが行われる



私は今年は赤組。マリちゃんとはどうやら敵のようだ








『嫌だなぁ…紅白リレー』


「え?何でですか?」


『あ、佐藤くん。いや、私走るの遅いんだよねぇ』


「赤白どっちですか?」


『ん?赤』


「あ、同じですね!」


『え、ほんと!』





やった!佐藤くんいれば百人力だわ!私がある程度遅くても取り返してくれそう!



反射的に喜びで佐藤くんの手をぎゅっと握った





『やったね!がんばろうね!ていうか、がんばってね!応援する!』


「っ、は、はい!」





何故かしどろもどろな返事をした佐藤くんの顔は真っ赤だった


流石赤組、顔色まで赤に染めるとは…





いや違うだろ、と突っ込まれても仕方ないことを考えて、私たちはリレーに出るためスタート位置へ出向いた






「さぁ、いよいよ恒例先生達による紅白リレーです!」



わぁあああ!と会場が生徒の歓声で溢れた


自分のクラスの先生を応援する生徒、自分の好きな先生を応援する生徒、様々な声が入り乱れる中、私たちはスタート位置に行く







だがしかし














『ちょっとまてぇぇえ!何で私がアンカー!?菊池くん知ってるよね私が足遅いの知ってるよねぇ!?』


「いや、こっちには勝利もいるし、最後はよゆーでゴールできますって!」


『って言いながらケラケラ笑ってんじゃん!完全に楽しんでんじゃんんん!』





走順決めるの菊池くんにまかせるんじゃなかった…!





『っ〜、どれだけ抜かされても知らないからね!向こうのアンカーは誰?』


「ん?中島」





え?まじですか?奴か…いや、ここは発想を逆転させよう、奴め、抜かしてやるぅうう!という気持ちをもてば勝機ははあるかもしれない







『ちなみに、彼は何部だったのでしょうか』


「中島、陸部っす」





あぁ、終わった













「位置について、よーい…」




パアンッ!






ピストルの音と共に一斉に走り出す第一走者。白組第一走者は聡ちゃんのようだ



赤組のバトンが佐藤くんに渡る








『佐藤くんー!!がんばれー!!』




できれば私がどれだけ遅く走っても抜かされないくらい差をつけてくれ!




「すげー勝利はえー!」


「すっげ〜な〜、まじで速い」



私の横でバトン街をしている奴と菊池くんが佐藤くんが走っている姿を見て感動している


かく言う菊池くんも、さっき相当速かった







『無名先生っ!』






速く走ってきてくれた佐藤くんからバトンをもらうと、アンカーだ!赤組リードだー!と生徒や先生達から更に大きい歓声が湧いた







が、パッと横を見ると









「お先!」





キランッと白い歯を見せて余裕で私を抜かしていく奴







『えええぇえええ!』




簡単に抜かされたー!やばいやばい速い速い!奴速いよ!やはり陸上部というのは伊達ではなかったか…くっ…









『っきゃ!?』


「!」










ズサァアアッ!と派手にコケた


やばい、小学生でもこんなコケ方するか?っていうぐらいの感じでコケたよ!?


周りの目が恥ずかしすぎる…!




遠くの方から、無名先生大丈夫かー!?と、色々な先生の声が聞こえる気がした




やばい、走らなきゃ!








『いった…!』












走らなきゃ、と自分の使命を思い出し立ち上がろうとしたはいいが、両膝からは血が流れ出ていた


何これ、力はいらない立たないよ!?
ちょ、どうしよう、





顔を上に上げると、一人の人影が私の上から覆いかぶさった










「足!怪我してるじゃん」


『え、ちょ、せんせ、リレーは…』






私の目の前にいたのは私を抜かしていったはずの奴だった


ここまで戻ってきて、私の足を見てそう言う



奴も、リレーのアンカーでゴールしなきゃなのに





『す、すみません、ゴール向かうんで!先生も早くゴールに…』


「でも足」


『だ、大丈夫!ね!立て……っ、』





立とうと足にぐっと力を入れると、足がズキッと痛み、フラついてしまう





















「無理してんなよ」


『っきゃ!?』










次の瞬間、私の体が宙に浮いた





何故なら、奴が私をお姫様抱っこしたから






きゃー!!!!と、女子達の悲鳴が響くと同時に、おぉおー!!!!と男子達も盛り上がる













「ゴールしてそのまま聡のとこまで行くよ、しっかり掴まって」


『えっ、!ちょ、ちょちょちょっと待ってっ!お、降ろして先生!みんな見て…!』


「怪我した女の子放っておけるわけないだろ」


『っ…!』









私を抱きかかえたまま奴はゴールテープを切り、聡ちゃんのところまで連れていってくれた




生徒達だけでなく、先生達からも、私達を見てフゥー!と声をあげている




会場のボルテージが最高潮に達した











「思いやりって大事だよな!今回は赤白、引き分け!」















教頭がそう勝敗をつけると、生徒達からは拍手が沸き起こっていた

















































To be continued...

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