セクゾなティーチャー
□近付いたのかな
1ページ/1ページ
「うわ〜、あはは!これ派手にこけたね〜名無しさんちゃん!」
『いだだだだだぁああ!ちょ、聡ちゃんまじで痛いからこれ!もっと優しくして!
「我慢我慢〜」
現在、保健室にて聡ちゃんに消毒をしてもらい、結構な怪我だから、ということで包帯を巻いてもらった
「慣れないことするもんじゃないね〜!」
『ほんとだね…何か聡ちゃん楽しそう』
「あはは、いい物も見せてもらったしね!」
そう言って私と、保健室の窓から外の閉会式の様子を眺めている奴を見てニヤリと笑った
さっきのことを思い出すと、顔に熱が集まるのがよくわかった
まさかお姫様抱っこされるだなんて、
「健人くんかっこよかったよー!」
「おい、からかうなよ!」
奴もどことなく恥ずかしそうにしている
私の手当てが完了すると、聡ちゃんは、じゃぁちょっと外の仕事があるから!と言って保健室を後にしてしまった
ここに残ったのは、奴と私だけ
『…あ、ありがと』
ボソッと言うと、全然、という返事が近くから返ってきた
気付けば奴は私の隣に腰掛けていた
『先生にはおとといの釣りでも助けてもらっちゃったし、今日も…』
「健人」
『え?』
「先生じゃなくて、健人がいい」
ドキッ
私の心臓が一瞬、跳ねた
「健人って、呼んでくれないかな?」
『え、な、何で…』
「先生なんて、他人行儀すぎる」
『よ、呼び捨ては流石に…』
「なら健人先生」
『…いや、その…』
「まだ俺のこと、嫌な奴、ってイメージ?」
奴にそう言われて、ふと考えた
先生って、処女?
といきなりからかわれた日から、奴のことが嫌いだった
一緒の学校になった時も関わりたくない、と思ったし、理科室でまたからかわれた時は最低、と思って聡ちゃんに愚痴った
どうか奴と私がただの″先生″でいられますようにって
でも、素直にごめん、と謝れる奴だということを知った
自分の身を顧みず私を庇ってくれる強さをもってることを知った
怪我した私を放っておかず助けてくれる優しさがあることを知った
『そんなこと…ない』
そう、そんなこと、ないのだ
『もしかしたらいい人なのかも…って、思ったよ』
私がそう言うと、奴はフッ、と優しい笑みを浮かべた
「ありがと。じゃぁ…『中島先生』えぇ!?」
私が中島先生、と呼ぶと、奴は驚いた顔をした
『中島先生ね』
「いや、今のは健人先生の流れだったでしょ!ここで中島先生!?」
『プッ、あはは』
奴が笑いながらツッコミを入れてくるものだから、私もつられて笑い合った
今日初めて、私は奴に笑顔を向けた気がする
私の中で、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、奴との距離が近付いた気がした
「ふぅ、お疲れ勝利くん!あれ、どうかした?」
「ねぇマリ、俺さ、応援してもらって、嬉しかったんだよね」
「え?」
「でもさ、俺以外が助けたっていうのが、モヤモヤして仕方ないんだ。俺、変かな」
「…勝利くん、?」
保健室の窓を見つめ、言った
To be continued...