セクゾなティーチャー

□そう見えてるといいな
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『…ということだから、二酸化炭素と化学反応を起こすんだね』





現在、佐藤くんのクラスである2年6組で授業中である



時計を見るとあと五分でお昼休みだ、という時間で、顔が緩む


まるで授業を受ける側であるかのようなことを考えていた矢先、一番前の男子生徒からこんな言葉が















「ねー無名先生、先生って勝利先生と付き合ってるの?」








『…っを!?』





我ながら可愛くなさすぎる反応をしたと思う





「だって俺部活の時に先生達が2人で理科室あるの見たし!」


『いや、それ仕事だから!』


「ふ〜ん、怪しいんだよなぁ先生達〜」






ニヤニヤした顔で私を見てくる彼ら


おい、どうなってるんだ佐藤くん君のクラス!







『い、いいから早く問題を解けぇええ』





とりあえず話を終わらせなければ



下手なことを話すと、すぐに出回る


この前の菊池くんがタイプ、と適当に答えたことで学習済みである






…菊池くんと言えば、昨日の不機嫌モードなど全くなく、朝から爽やかに挨拶と勝手に食べたチョコレートの請求をいただいた



まるで何か吹っ切れましたとでもいうような顔をしていた気がする











俺、結構嫉妬深いですからね?

















…一体どういう







「無名先生?」


『はひ』






突然真横から声がしてぱっとそちらを見ると、そこには奴と佐藤くんが私を見て半笑いで立っていた




はひって返事する人初めてみた、と奴が私をいじる





『ごめん、何だった?』


「授業、終わりましたよ?」


『…チャイム、鳴った?』


「鳴った鳴った」





どうやら考え事をしている間に時間が過ぎていたようだぜ


私は佐藤くんのクラスの教卓でぽけーっとしていたわけか







「今から無名さんの一番の楽しみな昼食の時間なのに、珍しく考え事?」


『…中島先生、何か言い方がなぁ、パワハラかな、訴えよっかなぁ訴えちゃおっかなぁ』


「不祥事扱い!?」


『ね、佐藤くん、どう思う』




私が佐藤くんにむちゃ振りをすると、佐藤くんは少し困ったようにはは、と笑った



それから、今日の放課後はよろしくお願いしますと言われ、今日の放課後の自分の予定を思い出す



今日は、佐藤くんの研修を指導者として一緒に見ていくんだった



こちらこそよろしくね、と返事をし、私も自分の教室へと向かった



































『佐藤くん、お疲れ!』






研修の付き合いも、2人で真剣な話をしているとすぐに過ぎた


仕事をしている時間というのは、案外あっという間だ


常に頭を働かせているからなのか、忙しいからなのかはわからないが、窓の外を見るとさっきまで顔を出していた太陽はもうかくれてしまっている











『よっしゃ!研修終わりー!佐藤くんこれ食べる?』


「ありがとうございました!チョコですか?」


『うんそう、菊池くんに買って来いと言われて急いで買ってきたチョコ。たくさん買ったからあげる』





正確には私が勝手に菊池くんのを食べたから買いに行かされただけなんだけど







「俺、これ好き!」


『え、ほんと!ならもう一個あげる!』





チョコを見た瞬間、ニコッと美しい笑顔を浮かべる佐藤くん


何これ弟みたい、可愛い。ついもう一個あげてしまったよ




『そーいえば今日さぁ、佐藤くんのクラスの子に、先生達って付き合ってるんですかー!とか聞かれてさ!』


「え!?っ、ゲホッゲホッ!」


『むせた!大丈夫か!』


「っ、あいつら〜…」




顔を真っ赤にさせてむせた佐藤くん





『面白いよね佐藤くんのクラス、そんなわけないわ!ってちゃんと言っといたよ』


「…んー、な、何なら、そういうことにしといてもよかったですけどね?」

















…え、しれっと、そんな策士のような台詞を言われ、目をパチクリさせてしまった







『佐藤くん…モテるでしょ』


「そんなことないです」


『いや、君からはモテオーラを感じるよ私』


「好きになった人からは好きになってもらえなくて」






そういうと佐藤くんは、なかなかアピールできないし、と付け加え、私の方を見た








「健人くんのこと、好きなんですか?」


『ん?え?は、…はぁああぁぁあ!?』






突然何を言いだすかと思ったら


私が奴を、好・き!?

あの宿敵を!?そんな馬鹿な…!



いや確かに最近は前よりはイメージましになったけども!マイナスからのスタートだから、逆境からのスタートだから!






「無名先生?」


『いやいやいやあいつを好きとかあり得ないから!いや、ほんと、宿敵だったんで!』


「え、は、はい(宿敵?)」


『ないないない佐藤くん、それは勘違いが甚だしいぞ!』


「そ、そうなんですね、いや、今日も仲良く喋ってたから…前はそんなことなかった気がして」


『仲良くぅ!?仲良く見えた!?』


「すいません、勢い半端ないんですけど…」




おっと危ない、危うく可愛い佐藤くんにまで引かれるところだったぜ


今まで菊池くんには何回…何万回頭おかしいと言われたことか






「じゃぁ、名無しさん先生って呼んでもいいですか?」


『ぜ、全然いいよ?』


「俺は、勝利でいいです!」


『勝利…くん?』






名前を呼ぶと、佐藤くん…いや、勝利くんは満足そうに笑った


何これ何この子やっぱり可愛いよ?


ちょっと母性本能くすぐられちゃうよおばさん?









でもなんか、








『勝利くんと仲良くなれた感じがして嬉しい!』




今の自分の率直な感想を伝えると、勝利くんは照れたように笑っていた



やばい、またチョコあげたくなる…



































「そんなこと言われちゃうと、余裕なくなっちゃうなぁ」






















ご機嫌な私を見て、佐藤くんがそう呟いたことを、私は知らなかった

































To be continued...
 

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