セクゾなティーチャー

□心の変化
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土曜日



午前9時45分





チラッと家の窓から外を見てみる



どうやらまだ奴らしき者の影はない










『あぁっ…こんな可愛い色の…ヒラッとしたスカートでいいのかな…』




なんだかんだ、服装は迷いに迷ってしまった



デートだなんていうものだから、適当な格好では行けない


だがこれは、結構張り切ってるな、感が否めないのである




うーん、と頭を悩ませている間に、時計を見ると10時ぴったり



まずい、と思い、少し急ぎめで家を出ると、見慣れた車が一台停まっていた







「あ、無名さん、おはよ!」


『お、おは、おはよう…!』





挨拶をしただけだが、奴は少し驚いた表情を見せ、私を見つめた








『な、何?』


「可愛い!」






奴から出た言葉は、女の子が言われてとても喜ぶ言葉



少なからず、そんなこと言われ慣れてるわけじゃないし、ドキッとしてしまう






「固まりすぎ、さ、乗って」





フッといつもの笑みを浮かべると、助手席のドアをわざわざ開けてくれた



レディーファースト



昔、奴の魅力の一つはレディーファーストだって奴のファンの友達が言っていた気がする



私はそのレディーファーストに驚きながらも、ありがとう、とお礼を言う


そしたら運転席に来た奴が、こんなのでお礼なんていいよ、当たり前のことだし、と付け足した





あぁ、何だか、驚かされっぱなしの一日になりそうだ












「俺、今日めっちゃ楽しみにしてた!」


『ほ、ほんと』


「金曜とか仕事早く終わらないかな〜ってずっと考えてたし!」






そんな笑い話をしてくる奴に、私の頬も緩む



奴と二人きりで、こんな日常会話をするのはもちろん初めてだし、する日が来るなんて思ってもみなかった




それからも映画館につくまで、奴が私を笑わせたり、驚かせたり



初めはめちゃくちゃ張っていたというか戦にでも行くのかと指摘された私の緊張が次第にほぐれていくのを感じた








「はい、着いたよ」


『お疲れ、ありがと!』






降りるときにドアを開けるのももちろん奴で



徹底されたレディーファーストっぷりに少し戸惑いを感じたが、今度は受け入れた







映画館に入り、座席に着く








「映画、楽しみだね」


『主演の俳優さん好きでさ、ずっと観たかったの』






座席で話すと、かなり距離が近いことに気づいたり


ふと見る奴の横顔が綺麗だなーと感じたり




何だか私は生徒くらいの中学生に戻ったかのようなことを思った



























『やばい!感動した!』


「最後の終わり方が斬新だったよね」


『うん!すっごい集中して観た!』







すごく集中した、という無名さんに打って変わって、俺は半分くらい映画に集中した、というのが妥当だった



映画の上映中、笑ったり、驚いたり、泣いたり、様々な表情をする無名さんから目を離せなくなったから






一緒に来れてよかったなぁ、無名さんを見てるの飽きないなぁ、なんてことを考えていたら、映画の内容は半分しか入ってこなかった










可愛いなぁって
















『映画、連れて来てくれてありがとうね』


「うん、こちらこそ」


『また月曜から仕事がんばろう』


「え、何、まだデートは終わりじゃないよ?」





嫌だ、まだ帰したくない












「行きたい場所、あるんだよね」

















少しきょとん、とする彼女の手を引き、再び車へ乗り込んだ
















まだ、君と一緒にいたい
































To be continued...

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