落乱
□鉢屋と心中
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知ってる?人って死に際が一等綺麗なの、
だからね、ほら、もっと足掻いて魅せて??
もっともぉっと、もがいて苦しんで必死になって
朽ち果てて
そう言って微笑んだ彼女の目にはとても綺麗な涙が浮かんでいた。
ぶしゅっ
と肉が裂け、水が弾ける音が聞こえた
どさっ
次いで何かが落ちる音がし彼女は言った
だ い す き ず っ と ず っ と
その言葉を最後に彼女は動かなくなった
あぁ、私はなんて無力なんだろうか…
惚れた女一人満足に護れやしないではないか…。
私は知っていたのだ、彼女が狂っていることを 彼女が私を殺そうとしていることを そしてそれを必死で止めようとしていた彼女のことも。
私は彼女に殺されるならそれでもいいと思っていた。
そんな甘い考えが彼女を殺したなんて…なんとも滑稽な話ではないか。
彼女を愛していた
愛していたとも、
だから私も彼女の後を
追おうではないか…!!
首もとに当てた苦無をゆっくりとひいた
(あぁ、これでずっと一緒だな)
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