黒バス

□その他と
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「っはー古典マジ最悪だ。消えねーかなこの世から」


うるさい奴はキライだ。
べたべたしてくるのも、やたら口出ししてくるのも。


「期末も終わったし、もうすぐ夏っスね」


かと言って、そばに誰かいたら嫌だとか、別にそーゆーわけじゃない。寧ろひとりは嫌だ、だって ふと何か思いついて喋った時に何も反応がないのはさみしいから。


「アイスのうまい季節だな。実際 年中うまいけど」


言葉を返してくれなくてもいい、ただ相槌を打ってくれるだけで、にっこりと笑いかけてくれるだけで。他には何もいらない。


「風がきもちーなー…」


だからなのか、それとも他の理由があるのかはわからないけど。
最近オレは、もっぱら水戸部センパイの隣にいることが多くなっていた。
口数の少ない、っつーか喋んない、だけど包容力があってあったかい水戸部先輩の隣は落ち着くんだ。
心地好い。


「…オレ、ジャマ、っスか?」


だけどそれはオレだけかもしれない。
水戸部先輩は窓際に腰掛けなんだか難しそう…ではない、レシピ本に目を通している。
オレうるさかったかも。自分でうるさい奴はキライだとか言っといて。


「すんません、ジャマならオレ帰――」


ふわり、罰が悪くなり立ち上がったオレの髪を撫でたのは、
初夏の風じゃなく、水戸部先輩の優しい手のひら。


「――…ここにいても、いいっスか?」


その事実に胸が高鳴った気がするが、それは後々考える。

今はただ、コクリ、オレの問いにいつもの優しい表情で水戸部センパイが頷いたのを見届けて、オレはそっと寄り添った。


ああ、やっぱり心地好い。



END
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