復活

□フランと
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「…なんでお前がここにいんの?」
「添い寝ですー」


深夜。ベッドで眠るベルは寝返りを打とうとしたが何かにつっかえてできなかった。
寝心地の悪さを感じまだ眠たい瞼を開けると、隣に横たわるのは無機質な黒いカエルで。それを視認すると一気に苛立ちが募り、ベルは自分のベッドを半分以上占領しているコーハイをげしげしと足蹴にした。
痛がりながらも退く気配のないフランに目を擦りながら冒頭のセリフをぶつけると、返ってきたのは何とも間の抜けた答えで。そのあまりの間抜けさにベルは眠いこともあってかなるほどなと納得し、特に咎めることもせず再び眠りにつこうと布団をかぶり直した。


「…あれ? センパーイ? 怒んないんですかー?」
「んー…」


確実に暴言とナイフが降ってくると思っていたフランだが降ってきたのはベルの寝息で。こんな間近でそんなもの聞かされたらコーフンしちゃいますーなんて思いながらも構ってもらえない寂しさも相まって、眠りを邪魔してやろうとフランはベルに後ろから抱き付いた。


「てゆーかベルセンパイ気付かないってマズくないですかー?」
「……んあ?」
「仮にも暗殺部隊なのにこんなカンタンに寝込み襲われちゃってーセンパイが暗殺されちゃいますよー」
「……あー、それはぁ、」


健気に答えてくれるベルに嬉しくなるフラン。いつもより大人しいのはやはり眠気のせいか。しかも相当眠いのか、抱き付いているフランを振り解くこともしない。

そしてその嬉しさは、ベルの次のセリフに更に何倍にも膨れあがった。


「それはお前に殺気がないからだし」
「…え?」
「だーから、王子が鈍いんじゃなくてオマエにそーゆー殺気みたいな、嫌な空気を感じなかったからだっつってんの。人のせいにすんな」
「……」


ベルは自分が侵入者にも気付かないマヌケだと馬鹿にされたようで悔しくて反論しただけなのだが、フランはそうは取らなかった。

嫌な空気を感じない、つまり、ベルは自分のことを悪く思っていない。イコール、好き。

フランの頭は、ものすごく自分に良いように解釈されるようにできているらしかった。


「つーかお前さっさと出てけよな、邪魔」


だから、今度こそ眠りに堕ちていくベルの最後のセリフも、有頂天なフランの耳には届いていなかった。


「センパーイ。ミーも大好きですー」


そう耳元で一言呟き、嬉しさを抑えきれずベルに寄り添ったままフランも目を閉じた。













「や、だから出てけよお前」

「え?」



fine.
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