復活

□フランと
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「センパイのアイデンティティーって何ですかー?」

「王子」

「…」


ミーの問い掛けに何それ、とか聞いてどうする、とか言わずに即答するセンパイ。本当にこの堕王子の頭の中はそれしかないのかと、予想していた答えとは言えやっぱり呆れる。


「んだよ、聞いたくせに無視すんな。それが何」


…あぁ、でもその疑問はちゃんと持ってたんですねー順番逆ですー。とか思ったけど無言のまま投げつけられる趣味の悪いナイフが鬱陶しいので答えてあげることにした。ミーってやさしー。


「えっとですねー、センパイのアイデンティティー増やす気ありませんかー?」
「…はぁ?」


王子(というか堕王子)や天才(認めたくないですけどー)、ヴァリアー、ナイフだのプリンスザリッパーだのボーダー、ティアラ、金髪、牛乳、寿司、、数え挙げればキリがないほどにセンパイのアイデンティティーなんていくらでもある。誰だってそうだけど。でも、その中に。その中に、もうひとつだけ加えてもらいたいモノがあるんです。
不信顔なセンパイにそう続ければ、先ほどと同じ、もしくはそれ以上に怪訝な顔になって睨まれた。理解できないからって八つ当たりは止めて下さいー自分の理解力のなさを人のせいにしないで下さいー。そう言ったらまたナイフの雨を浴びたので、冗談ですよーと心にもない事を適当に言って逸れてしまった本題に戻した。




「だからですねー、センパイのアイデンティティーに、『フランが好き』っていうのを加える気はないですかー?」




ミーの告白に、目の前の堕王子はフイと顔を背けたあと、「ねぇよ」と一言呟いた。













―センパイ相変わらず素直じゃないですねー

―はぁ? 超素直だし。本音だし

―こっち見て言って下さいーそれ

―…やだね

―何でですかー?

―お前の事キライだから見たくない

―ミーは好きですー

―うっさい。こっち見んな

―それは無理ですー

―…何でだよ

―ミーはセンパイの事見ていたいのでー

―…死ねカエル




堕王子が本当に堕ちるのも、もうすぐのようですー。



fine.
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