氷の世界
□2話
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そう言って電話を切ったあたしに
「何故、父親にあんなことを言う」
「父親…ね。この横浜に捨てたのは
紛れもなく父親ですしね。
異能が発言したのが遅かった。だけだと言うのに」
「どういうことだい」
探偵社には話しておいた方がいいだろう
「一条。そう聞けば大体の異能力者は震えあがり
誰もがその家とつながりを持ちたくなる。
異能力者の一族。
あたしは、其処の“本家”で生まれ、10歳まで育った家」
「10歳まで?」
「えぇ。
一条は10歳までに異能力を発動させなければ
家の子として。一族の子として、認めて貰えない。
あたしは、10歳までに発動できず、捨てられてから発動した」
「「!!」」
「それを知った父親は、あたしが15になった年に婚約者を連れて来た。
其れも、一族の分家の人間を」
「な!?」
「其れはそうでしょうね。こんな異能力。手放したくないに決まって居る。
氷雪系の異能力で、雪と氷に分かれて攻撃も守備も出来るんだもの」
そう言ったあたしに
「でも、流石に死んだことには」
「あの人たちなら遣りかねない。
きっと、どんな手段を使ってでもあたしを
一条の家に縛り付けようとする。
そんなことが分かり切っている家に誰が戻りたいと思います?」