小さな説
□光と緋の隕石〔完〕
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光と緋の隕石
「ねぇ、アスラン…アスランってば」
拗ねたような声で、キラが俺の名前を呼んだ。
「ん?あぁ、キラ、どうしたんだ?」
アスランのバカ、どうしたじゃないよ、そう言って、キラはより一層拗ねて見せた。
「…は?何?」
バカと言われて、俺はちょっと気が立ってしまい、思わず出た言葉がソレだった。キラは怒ったのだろう、もういいよ、そう言って勢い良く立ち上がったもんだから、俺は頭から床に落ちた。…いや、なんだ、キラに膝枕してもらってたからなんだけど…(苦笑
「キラ、どうしたんだって聞いてるだろ?なんで答えないのさ」
キラの思ってることの大体はわかっている。けれど…
「…もういいってば」
少しながらだが、泣き声でキラは背を向けたままそう言うと、部屋を出て行ってしまった。
最近、軍での仕事が忙しく、夜遅くなることが多くて、なかなか構ってやれなかったからだろう。今だって帰ってきてから、あまり時間が経ってはいない。俺だってキラが恋しいし、疲れたときには甘えさせて欲しい。なのにキラはいつも“明日も仕事でしょ、早く寝ないとね”…そう言って寝る準備をさっさと済ませて、ベッドに引っ張ってくる。俺が寝ないと怒って拗ね、一緒に寝るどころか口も聞いてくれなくなる…。疲れているせいで、俺が先に寝ることが多く、朝も早いからなかなか話できない上に、買物以外では“アスランが帰ってきたときに、僕がいつも迎えたいから”と言って滅多に外に出ないから、朝から晩まで家に、ご飯も独りで…そんな毎日だ。それが積み重なって今に至るワケだが。出来れば俺も早く家に帰ってキラと一緒にご飯を食べたり、キラに触れたい。…キラもわかってはいるんだろうけど…ね。
「キラー、俺、風呂入るからなぁー」
…はぁ、やっぱりね。返事がない。