Tales Novels
□翡翠の心
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―神託の盾本部―
『シンク、悪いがアリエッタを起こしてきてやってくれないか?』
「は?何で僕が…アンタが行けばいいだろ。」
『行けたらとっくにそうしている。見ての通り忙しいからお前に頼んでいるんだ。』
そう言ったリグレットの机の上は一日で終わるかもわからない程大量の書類が乗せられていた。
「…わかった。めんどくさいけど行ってきてあげるよ。」
『悪いな。』
正直その時は気付いていなかったが内心僕は嬉しかったんだと思う(でなきゃ何を言われようと断っていただろう)
――翡翠の心――
アリエッタが眠る部屋の扉をノックしてまずは呼び掛ける
「アリエッタ、こんな時間まで寝てるとブウサギになるよ。とっとと起きたら?」
え?そんな起こし方はないだろって?生憎僕はどこぞの奉公人と違って気のきいた言葉をかけてやれるほど出来た人間じゃないんでね。
しかし呼び掛けても返事が無い。
仕方ないので直接起こすことにした。言っとくけど不法侵入とか言ったら殴るからね?
そっとドアを開け、今度はアリエッタ本人に呼び掛ける。
「アリエッタ、これ以上寝るとブウサギどころじゃ無くなるよ?」
先程の台詞を目の前のアリエッタの寝顔に向かって言ってみる。
しかし当の本人はスヤスヤと寝息をたてて気持ち良さそうに眠っている。
「まったく…人の気も知らないでよくも能天気に寝てられるね」
『……………さ……ま』
「?寝言…?」
『イオン様……アリエッタを……置いてかないで……』