Tales Novels

□嘘吐き上手と嘘吐き下手
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一体何があったのか……。

現状に動揺しつつ、ルークは考える。


「なかなか興味深いですねぇ」


短い赤髪の青年―ルークが、裏のありそうな笑みを浮かべた。


「ジェイド、“俺の体”で遊ぶなよ!」


青い軍服に身を包んだ赤い瞳の男性―ジェイド―が、“ルーク”に向かってそう言った。


「あなたこそ、“私の体”で品の無い喋り方をするのは、止めて頂けませんか?」

「う……」


違和感がありすぎるおかしな状況。

ルークとジェイドの“精神”が見事に入れ替わっていた……。










     嘘吐き上手



嘘吐き下手









なぜ、このような状態になったのか……という説明は省く事にする。

今は、元に戻る事が優先すべき事だから。


「ジェイド!何か方法はないのかよ!」

「探せばあるんじゃないですか?(多分)」

「じゃあ探せ――……」

「ルーク?ジェイド?」


突如入り込んできた第三者の声。


「何だよ、ガイ」


うろたえるルークを尻目に、ジェイドはルークの口調で話す。


「そろそろ出発しようってティア達が」


扉の向こうから話しかけるガイ。


「んー、分かった。準備が出来たら、すぐ行く」

「……」


自分ではない自分が話している。

物凄くおかしな感じがするのは当然で……。


「ジェイドもな」

「え……。あ、はい?」


普段から聞き慣れているはずのジェイドの話し方が、よく分からなくなる。

遠ざかるガイの足音。


「ルーク」

「なっ、何だよ」

「元に戻る方法が見つかるまで、完璧に“私”を演じて頂きますよ?」


“自分”が浮かべる意地の悪そうな笑み。


「いっそ、みんなに話して――」

「いけません!」


ルークの発言を否定する。


「何でだよ!」


ジェイドからすれば、子供のような表情をする“自分”が許せない。

が、こんな面白い事を逃す事はできない。


(自分が『レプリカ』になるなんて、興味深いですからね)




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