Tales Novels

□雨が降る日と澄み渡る空
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雨はしとしとと降りしきる




雨が降る日と澄み渡る空





「――38度6分」

ガイが体温計が示した温度を告げた。
告げられた本人はたいそう不服な顔をしながら宿屋のベッドの上に横たわっている。

「ま、昨日あんな雨の中で長時間いた方も悪いんだ、今日は病人らしくゆっくり休むことだな」

「……う〜……」

病人…もといルークは熱で思考がよく回らない頭で文句を言いたげだった。

ははは、とガイは笑うと

「今日一日くらいは我慢するんだぞ?治りが遅くなるからな」

そう言い残して部屋を出ていった


元世話役兼護衛役が部屋を出ていくとルークひとりになった

「……ちぇっ」

ひとりになってみると自分の息遣いがよく聞こえる。いつもより呼吸が浅い気がする――発熱による所為だろう。

熱い、苦しい、だるい。嫌な三拍子が揃ってしまったことにルークはため息をつく
咳や鼻水といった症状は出ていないのが救いだが、喉は痛い。


滅多なことでは風邪を引かないルークが何故熱まで出してしまったのか。


その原因は昨日に遡る…






雲ひとつ無い晴天。

「ご主人様、見てくださいですの!」

ミュウがルークの足元をくるくると回りながら楽しそうに跳ねた。

「お花がこんなにたくさんあるですの〜!」

「ああ、そりゃ花屋だからな」

当然のことを当然のように発言するミュウをルークは苦笑しながら見た。
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