Tales Novels
□守りたい存在
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「――ティア!後ろっ!!」
そう言われて振り向いたが遅かった。魔物――それも大型の――はすぐ真後ろに迫っていたのだ。
(―――くっ!)
もう間に合わないのは百も承知だ。だが、ただでやられる気は無い。
彼女――ティアは相討ち覚悟で足のタガーを引き抜き、魔物を討とうとした
だがその時、横から影が現れて……
「!!」
影はティアをかばい、魔物の重い一撃をまともに受ける
スローモーションを見ているようだった。時間が遅く経過しているような感覚とは、このことか……。
はっと気を取り直すと、目の前には自分をかばった影の血が流れていた
血はどくどくと、滝のように…………
「……っ!ルークッッ!!」
彼の者を、死の淵より呼び戻せ――…
「レイズデッド」
蘇生の治癒術を施すも、それは止血程度にしかならなかった。
(まるで効いてない…!)
ティアは内心舌打ちと歯軋りをしたい気分になった。
ナタリアも手伝ってくれているが効果は薄く、やはり予断は許されない状況に変わりはなかった。
まさに虫の息の彼。意識は無く応答もない。
…今、ルークは生と死の狭間を彷徨っているのだろうか…
「…私のせいだわ」
誰に言うのでもなくティアは呟いた
するとジェイドがいいえ、と否定する
「あなただけの責任ではないでしょう」
「…大佐」
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