Tales Novels
□僕に優しさをくれる人
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昼下がり
やわらかな日差しが零れるうららかな陽気だった。
ルークは、ミュウと木漏れ日の並木道をぶらぶらと散歩をしていた。
「ふぁ…いい天気だなぁ…」
暖かい気温に自然と欠伸と独り言が出る。
足元にはミュウ。小さい歩幅で懸命についてきていた
もっとも、ルーク自身はいつもよりも遅めに歩いているので、それほど苦にはなっていないと思われるが。
ふと空を仰ぐ
(本当に…いい天気…)
暖かさはこの世界に生まれた生命(いのち)を優しく包み込んでいるかのよう。
――…だが
その恩恵を、自分は受けていいのだろうか?
なぜなら自分は人工的に造り出された生命。
…本当はこんな陽だまりの中にいていいはずの生命ではないのに
それは誰よりも傷つきやすいルークの心を抉っていく――…。
「ご主人様…?どうしましたですの?」
ルークの表情の変化に気付いたのか、ミュウのルークを気遣う言葉が足元から聞こえた。
「…なんでもない」
ルークは無理をして笑い、誤魔化すように近くに備え付けてあったベンチに腰を下ろした
(駄目だな…俺…こんなこと考えちゃいけないってわかってるのに…)
忘れようと思ったその時
「――あ」
どさっという音と共にルークの目の前で小さな子供が転んだのだった。
子供はその場でぐずりだしてしまった。「痛いよ、痛いよ」と繰り返しながら泣いている。
「大変ですのっ」
ミュウが隣で飛び跳ねる。