Tales Novels
□翡翠の心
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無意識に腹が立った
彼女の中にはアイツしかいないと思うと
そしてアイツが彼女を苦しめていると思うと
涙を浮かべてアイツを呼び続けている彼女をどうしたらいいのか
答えが見つからない
だから今は
「アリエッタ…大丈夫です…僕は此処にいるから…」
とアイツのように優しく抱き締めてあげるだけ
泣くのを止めて笑顔でまた寝息をたてる彼女にまた自分もつられて笑顔になる
「明日からは自分でちゃんと起きられるようにしなよ。」
そう言って静かに部屋を出ていった。
『なんだシンク、起こしてこいといっただろう?』
「やっぱめんどくさいから止めた。死神、適当に起こしといて。」
『なんで私が行くことになってるんですか!!それと死神じゃなくてバ・ラ!!』
「あーハイハイわかったから後よろしく。」
今僕が起こしたってアイツと重ねられるだけだから
そんなのはごめんだから
今はただ遠くから見守っていよう
そしていつか君の心の光でいられるように
いつか一番傍で君を照らし続けてあげられるように
―ただ何も言わずに君を想う―
⇒後書き・シンクと反省会