Tales Novels
□嘘吐き上手と嘘吐き下手
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「とにかく、ルーク」
「何だよ」
ルークに押されるジェイドの図は、貴重かもしれない。
「ポーカーフェイスですv」
にっこりと微笑む“ルーク”。
その笑みをマネしてみる。
「その不自然な笑顔は禁止です。もうちょっと自然に微笑めませんか?」
「う゛……。無理――……」
「ではありませんよね」
―15分後。
「ルーク、おっそーい!」
「悪ぃ、ちょっと時間かかっちまってさ」
いつもと変わらない“ルーク”。
これがジェイドだとは誰も思わないだろう。
「旦那、今日は静かだな」
「え、えと……年ですからねぇ」
「何だよ、嫌味かよ〜」
ジェイドのフォローのおかげか疑われない。
そもそも精神が入れ替わるなど、普通は考えないだろう。
「ところで、今日はどこに行くんでしたっけ?」
ティアに質問され、焦るルーク。
「今日は、あそこですよ。ね、“ルーク”」
「ん?ああ。ダアトに行くんだろ」
「何をしに行くのでしたかしら?」
試されているのだろうか……とルークは思う。
「もー、ナタリア。イオン様に会いに行くんでしょ」
(ナイス、アニス!)
心の中でアニスに感謝する。
パッと移動して、ここはダアト。
イオンは部屋で書類に目を通していた。
「イオン様〜、お体大丈夫ですか?」
「アニス、それに皆さんも……。僕は元気ですよ。例えて言うなら、ラルゴとリグレットがタンゴを踊るくらい元気です」
「……」
穏やかに微笑むイオン。
顔色は悪くなく、今日は体調が良さそうだ。
例えはよく分からないが。
「あ、そう言えば」
暫く談笑していたが、思い出したとイオンが口を開いた。
「アッシュ達があなた方を探していましたよ?」
「……」
アッシュ『達』。
その『達』には、誰が含まれているのだろう。
「邪魔するのも悪いし、そろそろ帰るか」
「だな」
「……ですね」
「イオン様、無理しちゃダメですよ」
アニスの過保護さに苦笑を浮かべるイオンに見送られ、ルーク達は部屋を出た。
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