Tales Novels
□雨が降る日と澄み渡る空
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今日一日は自由行動に
ジェイドは何か用事があるらしい
水上の帝都グランコクマにて一日暇となった一行。ルークはとりあえずミュウにせがまれたということもあって街を散歩することになったのだった。
花屋の店番をしていた少女にお任せで小さな花束を見繕ってもらう
おまけでミュウには黄色いガーベラが1本プレゼントされた。
「ご主人様、ボクお花もらったですの〜♪」
「よかったな」
花を持って嬉しそうにするミュウに心なしかルークは和んでいた。
以前なら苛々して蹴っ飛ばしていたのだが、今はそんなことは思わなかった。
買った花束を見つめる。
つい衝動買いしてしまったようなものだが、もうルークの中では贈り主は決まっていた。
(ティア…喜んでくれるかな……?)
彼女の時々見せる優しげな笑顔が浮かび、顔がほころびそうになるのを必死に抑えた。
そんなルークを悲劇が襲ったのは、次の瞬間だった
ドンッ
「―――あっ」
背中に何かが当たったと思うと、花束がルークの両手から離れ、宙を舞った
そしてそれは
橋の真下の河へ………
「君、大丈夫!?ごめんね、ちょっとよそ見してたから……」
背中に当たった衝撃はおしゃべりをしながら歩いていた二人組の婦人だったようで、あわや橋から転落しそうになっていたルークの安否を気遣っていた
だがルークにはその声は届いてはおらず、ただずっと橋の下に落ちてしまった花束を見つめていた―――
その後、ルークは花束を探しに河に入ったのだが。
「無いなぁ…」