Tales Novels
□無垢な言霊
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男の子はにこっと笑うとティアに近付き、手を取った。
「ねぇねぇ、いっしょに遊ぼう?」
「あなたは…?」
屈托のない笑顔に戸惑い、急に現れた存在を訝しげに思う。だがそこはやはりティアなのか、
(か…かわいい…v)
自然と口元が緩んでいた。
男の子はティアの手を取ったまま、引っ張るように走りだした。
「はやくいこうよっ」
「きゃっ」
連れられるがまま向かった先は城の内部。
しかし、いつもと様子が違う。それはやはりこれが夢だからなのだろうか。
男の子はその場でティアの腕を離して、部屋の隅の方に置いてあった箱――玩具箱だと思われる――を両手で抱えてティアの元へ持ってきた。
「何してあそぶ?」
ティアを見上げながら大きな瞳を輝かせて男の子は問い掛ける
「え、そ…そうねぇ…」
返答に詰まってしまう。考えてみると自分は、子供のお守りなどした事がない。
ユリアシティにもダアトにも子供はいたのだが、こんなに近くで触れ合うことはおそらく無かっただろう。
それ故に子供、特に男児ならなおさら、普通は何をして遊ぶものなのか全くといっていいほどわからない。
首を傾げて悩んでいると、男の子が「それじゃあ」と提案する。
「かくれんぼしよっ!」
「…かくれんぼ??」
以外な提案に、ティアはぽかんと口を開ける。
そんな遊びで男子は満足するものなのかと重ねて以外に思った。
(もっと…音機関とかのミニチュアか何かで遊ぶのかと思ったんだけどな…)
――と、考えていたのも束の間。