「俺、先輩の事好きになったみたいです!」
「………は?」
「あれ?聞こえませんでした?じゃあ、もう1回「いや、言わなくて良いから。」
「そうですか?じゃあ、返事を「待って!ちょっと待ってね!状況整理しようか!」
目の前に居る男子は後輩。でも、名前も知らない。顔は凄く整っていて一般的に格好良いという分類。
とりあえず服装で後輩だと理解出来る。けれど、見覚え無いし何より初対面なはず。
あれ、私が忘れてるってだけ…?
「先輩、どうしました?」
私の表情が変わっている事に気付いたのか、後輩が顔を覗き込んでくる。
その仕草に心臓の音が煩くなり、不意打ちで顔が赤くなる。
「な、何でも無い!!」
慌てて否定をするが、彼は少し首を捻って私をじっと見ている。
本当に誰なんだろ…
「…ごめん、私、君の事分からないんだけど。
だから、告白云々は置いといてくれる?」
考えた末に本当に困ったような表情を浮かべて断る。
すると後輩の子は安心させるような笑みを浮かべて私に告げた。
すみません、俺あきらめ悪いんです
(だから俺の事はこれから知ってくれませんか)(その笑みを浮かべた彼の笑顔は有無を言わせない悪魔の笑顔に見えた)